肌を重ねたなら
お名前設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
見張り番の夜。
皆が寝静まる頃
ひとり展望室にいると、誰かが登ってくる音がする。
顔を出したのはルフィだった。
「ルフィ……」
「やっと捕まえたぞ。ミドリ!お前ェ!おれからずっと逃げてただろ!」
「それは……」
この状況。
もう逃げられない。
ルフィは正面にあぐらをかいて座ると
真っ直ぐに私を見る。
「今まで通りにって言ったのはミドリだろ?なのに全然今まで通りじゃねェし!かまってくれなくて、おれ寂しかったんだからな!」
「寂しかった…?」
私は間違っていた。
少し寂しそうに、拗ねたような顔のルフィを見て、初めてそう気付いた。
私がしなくちゃいけなかったのは
ルフィと距離を置くことではなくて
ちゃんと向き合って話をすることだ。
ルフィはいつだって
こうやって真っ直ぐ向き合おうとしてくれていたのに。
「……ごめんなさい。」
「何でおれを避けてたんだよ?」
「避けるつもりはなかったの。でも、今までどうやってルフィと接してきたのかわからなくなっちゃって。それに……怖かった。あんなことされて、ルフィにその……愛されてるって錯覚しそうで。」
「錯覚?」
「あんなのはルフィの気まぐれで、相手なんて私でなくても良かったってわかってるのに。」
「錯覚なんかじゃねェよ。」
「え?」
「ミドリは何もわかってねェ。おれの気持ちをお前が決めるな!」
ルフィは私の両頬に手を添えると
そのまま顔を引き寄せて
唇を重ねた。
荒々しい口付けだった。
すぐに唇が離れると
今度は力強く抱き締められる。
あの時と同じ、唇と腕の感触。
私は全身が熱くなる。
「ミドリとこうしたかった。ずっと前からだ。お前を見ると、なんかこう…うまく言えねェけど体が熱くなってくる時があってよ。あん時はそれが止められなかった。」
ルフィからの真っ直ぐな言葉に
私は少し恥ずかしくなり、何も言えなくなってしまう。
「ああなったのは酔っ払ってたせいかもしれないけどよ、でもお前にしたことは全部おれの意思だ。」
私を抱き締めるルフィの腕に
さらに力が込もった。
「なかったことになんてするな。忘れるなんて言うんじゃねェよ。」
少しかすれたルフィの声が耳元で響いて
私は静かに頷いた。
ずっと私の片思いだと思っていた。
ルフィは恋愛なんて興味ないだろうし
私のことも仲間以上の何者でもないんだろう、と。
だからあの夜のことは
ルフィの気まぐれで酔った勢い。
それかただ溜まっていた欲を吐き出すために
たまたま近くにいた私が選ばれただけだろう、と。
でも違った。
ルフィも前から、私と同じ気持ちでいてくれて
相手が私だから、ああいうことをして
あの時好きだと言ってくれたことも、ちゃんと本心だった。
私の目から一筋涙がこぼれた。