四章
あなたのお名前は?
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『…お可哀想に椿様。産まれてすぐに隆影様に見限られてしまって…』
『隆光様がお産まれになって、益々椿様への風当たりが悪くなりましたよね。』
『殿はお世継ぎを所望しておられましたけれど、あんなに突き放さなくても…』
『そうですよ、ご自分のお子ですのに…』
『いつまで続くのでしょう。いっそのこと、早く嫁がれた方が椿様にとって幸せかもしれませんね。』
『しっ!聞こえるわよ。』
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『椿様、こちらにいらっしゃったのですか。』
『神室。』
『おや、どうされました?』
『神室は、私とずっと一緒にいてくれる?』
『勿論でございます。私はいつまでも椿様のお側におりますよ。』
『椿』
『母上!』
『こちらで遊んでいたのですか?』
『はい!このお花を母上に。』
『まぁ、ありがとう。とても綺麗ね。』
『えへへ、母上大好きです。』
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『葵様』
『まぁ隆光様、いかがいたしましたか?』
『姉上のご様子はいかがでしょうか?気になってしまって…』
『大丈夫ですよ。熱も時期に下がるとのことです。』
『そうですか、良かった。熱が下がったらまた私と遊んでくださいと、姉上にお伝えください。』
『わかりました。隆光様、いつも椿を気にかけてくださり、ありがとうございます。隆光様は優しい男の子でございますね。』
『姉上は…私にとって唯一の姉上ですから。父上に何と言われようと…』
『…はい。』
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『……隆光』
『姉上!……今そちらへ行きます。━━━姉上、また無茶をされましたね?』
『だって、こうでもしないと隆光のところに来れないじゃない。』
『はぁ…父上に見つかったらと思うと…』
『だから隠れて来てるんじゃない。』
『…姉上は、父上のことお嫌いですか?』
『…うん、ごめん。』
『謝らないでください。私も…姉上に対する父上の態度は好きじゃありません。私は、姉上のことお慕いしておりますから。』
『隆光……もぉ、可愛いなー!』
『ちょっ!子供扱いはお止めください!』
『あはは!よし、遊びに行こう!』
『え!あ、姉上ー!?』
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『母上、お呼びでしょうか?』
『椿、あなたに言っておきたいことがあります。』
『どうかされたのですか?何だかいつもと違っ…』
『椿、あなたは自由に生きなさい。』
『え?』
『あなたの思うように自由に生きなさい。人と対等な関係を築きなさい。そして、いずれは愛する人と結ばれなさい。』
『は、母上?何を仰っているのですか?』
『私の愛する娘、幸せに生きて…!!━━神室。』
『ここに。』
『あとはお願いします。』
『母上?意味がわかりません!神室離して!母上!!』
『━━いやぁぁぁ!!葵様ー!!』
『だ、誰か!!葵様が!!』
『神室離せ!!母上に何かあった!!神室!!』
『なりません!!この混乱に乗じて、あなた様を城外へお連れ致します!どうか、葵様の最期の願いを聞き入れてくださいませ!!』
『最期…?最期って…何のことだ!?』
『葵様は……っ!葵様は……自害されました……』
『……は、は…うえ……?』
『どうか、お気を確かに!!椿様、神室はいつまでもお側におります!!』
『………………は……母上ーーー!!!』
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『本当に、行ってしまうのかい?』
『はい、自分の思うように自由に生きてみたいと思ったのです。お二人には今まで本当にお世話になりました。ありがとうございました。』
『あんたさえ良ければ、ずっと家にいてもいいんだよ?私らは子供がいないから、あんたを本当の子供のように思ってたんだがね。』
『御心遣い、感謝申し上げます。ですが、もう決めましたので。』
『そうかい…それなら止めても仕方ないね。道中気をつけて。』
『これを持って行きなさい。お腹が空くだろうからね。』
『ありがとうございます。お二人とも、どうかお体にお気をつけて。』
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『椿様』
『神室か、何だ。』
『隆影様が椿様を探しておられます。この場も、もうまもなく桧山がやってくるでしょう。どうかお逃げください。』
『父上が…とうとう私を道具として使う時が来たか。』
『恐れながら…。私に妙案がございます。』
『申してみなさい。』
『この山を越えた更に山の奥、忍術学園なる忍の学舎があるとの噂です。桧山の手を逃れるには都合の良い隠れ蓑かと。』
『忍術学園…』
『……』
『神室、今までご苦労だった。これより先は国の外。お前は城へ戻りなさい。私一人で行く。』
『椿様!』
『神室、お前の働きがあったからこそ、私は自由を手に入れた。ありがとう。元気で!』
『椿様!…神室はいつまでも椿様の味方にございます!どうか、お気をつけて!!』
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『椿さん~!』
『!…乱太郎君、きり丸君、しんべぇ君…』
『椿さん、どこかへお出かけですか?』
『え、ええ。食堂のおばちゃんのお使いで……あなたたちは?』
『僕たちこれからおいしいお団子屋さんに行こうと思ってるんです。』
『良かったら椿さんも一緒に行きましょうよ。』
『そうね……行ってみたいな。━━!!』
『う、うわぁぁぁ!?おじさんたち、誰!?』
『(神室!?どうしてお前が!?何かあったの!?)』
『(椿様、申し訳ありません。)一緒に来て頂けますかな?』
『……子供たちは解放してくれる?』
『大人しくついて来てくれるのなら、見逃しましょう。』
『あなたたち、逃げて!早く!』
『だ、ダメです!椿さんを置いて行くなんて!』
『俺たちも戦えます!』
『椿さんも一緒じゃなきゃダメですよ!』
『…みんな…』
『(仕方ない、少し脅かします。)言うことを聞かなければ、痛い目を見ますよ。』
『ひ、ひいぃぃぃーーー!!』
『早く行きなさい!私は大丈夫だから!』
『う、うわあぁぁぁぁぁん!!』
『(みんな、ごめんね。)』
『椿様、手荒な真似をして申し訳ありませんでした。』
『神室、どうしたの?何があった?』
『実は事情が変わってしまいました。ここは最早危険です。今すぐ隆光様の元へ!』
『お喋りはその辺にしてもらいましょう。』
『!?』
『!?桧山!?あっ…………か、むろ………』
『椿様!?桧山!!貴様何した!?』
『面倒なんで、ちょっと眠ってもらっただけですよ。私は椿サマに用があるので、神室サン邪魔しないでくださいね。』
『待て!!くそっ!!行くぞ!!』
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