O

「・・好きだよ。ニノが好き。」


俺の言葉に、ニノが嬉しそうに微笑む。

あの日は、好きだと伝えても、ただニノを困らせてしまっただけで
それを思うと、今日はこんな表情が見れたから、もうそれだけで良かった。

だけど、ニノは意を決したように、すうっと息を吸い込んで言った。


「・・俺もずっと大野さんが好きでした。俺と付き合ってくれますか?」


昨日ニノに付き合ってと言ったら、断られて
まさか同じ言葉を今日言ってもらえるとは思わなかった。

真剣な表情のニノはカッコ良かったし
俺はただ単純に嬉しかった。

あれ。でも。
さっきまでヨリが戻ったらみたいな話、してなかった?
その話の続きを聞くハズだったんだけど。

混乱して何も言えない俺を見て、ニノが苦笑して言った。


「聞いてます?」

「え、あ、うん。それ本当?」

「はい。」

「でも、さっき・・・。」


俺が最後まで言う前に、ニノが笑いながら謝った。


「ああ、ごめんなさい。ヨリなんて戻してないですよ。」

「あ、そうなの?」

「はい。どんどん落ち込んでいく大野さんが、可愛くてつい。」

「お前なあ・・・。」


悪びれることもなく言うニノが、可愛くて憎めなくて。
でも、やっぱりちょっと悔しくて。

口では勝てないって分かってるから、俺はクスクス笑うニノを捕まえて、キスをした。


「・・・んっ・・・。」


ニノの舌は相変わらず気持ちよくて、俺は夢中でその舌を味わった。

漏れる吐息も色っぽく変化した瞳も、あの日と同じだけど
今日のニノは俺を拒まなかった。
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