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しばらくして俺の涙が止まったのを見て、潤くんが話始めた。


「・・俺、好きになれそうな子見つけたんだ。」

「あ、そうなんだ。」

「うん。よく行くバーで知り合ったちょっと天然な女の子。」

「へえ。上手くいくといいね。」

「まあ、どうなるか分かんねえけどな。」


潤くんは、照れくさそうに笑った。

いつまでも潤くんの事を引き摺っていたのは、俺の方だったんだな。
潤くんが前へ進んでくれて本当に良かった。

少し年上だというその女の子の話を聞きながら、そう思った。


「だから、お前も我慢しないで幸せになれ。」


ふいに真面目な顔をして、潤くんが言った。

ああ、本当にカッコイイな。
こんなセリフが似合う人、なかなかいないよ。
やべ、また泣きそうだ。

これ以上シリアスな雰囲気にしたくなくて
俺は慌てて目をパチパチさせて、涙を誤魔化した。


「・・またそんなカッコイイ事言って。」

「ははは。大野さんに振られたら、慰めてやるからさ。」

「ばか。」


笑いながら潤くんは帰って行った。
ほんわかと暖かいものが、心の中に溢れる。

もうこれ以上誰も傷付けたくなくて
誰も泣かせたくなくて
臆病になっていた俺の背中を、潤くんが優しく押してくれた。

だから、ちゃんと向き合おう。
自分の気持ちに。
大野さんの気持ちに。

ずっと言えなかった事を言うんだ。

そう決意して、俺は大野さんが戻ってくるのを待った。
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