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「・・別れたんだよね?」

「うん。」

「・・松潤、だいぶ落ち着いてたよ。しばらく荒れてたみたいだけど。」

「・・そう。」


詳しい話を聞かないまま、相葉さんは夜遅くまで潤くんに付き合ったようだ。

潤くんと付き合い始めた時も
途中で喧嘩した時も
相葉さんはいつも中立の立場で、話を聞いてくれて

なんか改めて有難い存在だなって思う。


「ニノに酷い事して、ちゃんと謝ってないって、そればっか気にしてた。」


相葉さんの言葉に、あの日の出来事を思い出す。

行為が終わった後、介抱してくれようとした潤くんを無理やり先に帰らせたのは俺だし
そもそも俺だって合意の上だったんだから、潤くんが謝ることは何もない。

急に別れ話を切り出したりして、酷い事をしたのは俺の方なのに
何で潤くんは、そうやって思ってくれるんだろう。

俺を見た相葉さんがギョッとしたように目を見開いた。


「わ、ニノ、泣かないでよ。」

「え?ああ、ごめん。」


俺は慌てて涙を拭い、おしぼりを目に押しつけて、深呼吸した。

泣くつもりはなかったんだけど
ちゃんと気持ちの整理が出来ていないのは、俺の方なのかな。

相葉さんが俺の頭をぽんぽんと撫でて、優しく言う。


「ほら、冷めちゃうよ?美味しい内に食べようよ。」

「うん。」


俺が再び食べ始めたのを見て、相葉さんはホッとしたように笑った。
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