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「あ、ニノ。こっちこっち。」


お店に入ると、すぐに相葉さんが俺を見つけて手招きしてくれた。
どこに座ろうか迷っていた俺はホッとして、その隣に座る。

メンズ部全員っていっても、30人位か。
ずっと大野さんの部屋にいるから、直接話した事がある人って割と少ないんだよな。

そんな事を思いながら、辺りを見渡す。

居酒屋の宴会スペースを貸し切っているようで、机にはもう料理が並んでいる。
上座にいた櫻井課長が立って、話を始めた。


「はい、では、皆さん。これから期末恒例の飲み会を始めます。」


あちこちから、拍手や歓声が聞こえる。
簡単な予算達成の報告の話の後、大野さんの乾杯の掛け声で、宴は始まった。


「じゃ、皆さん。今日は無礼講で楽しみましょう。かんぱ~い!」

「かんぱ~い!!」


周りの人達とグラスを合わせて、俺もビールに口を付ける。
場がワイワイと盛り上がってきた頃、相葉さんがこっそり耳打ちしてきた。


「あのさ、いろいろ大丈夫だった?」

「何が?」

「俺が余計な事言っちゃって、ニノがすごい怖い顔してた日があったじゃん?」

「・・ああ。」


まだ、その事を気にしてくれてんのか。

相葉さんは、潤くんが大野さんを呼び出した場面に遭遇しただけで、何も関係ないのに
心配かけて悪かったなって思う。


「大丈夫だよ。むしろ今日出てくる事の方が大変だった。」

「そっか。心配性だもんねえ。」


俺は潤くんの不機嫌な顔を思い出して、苦笑した。
嫌な予感がするから、本当は行ってほしくないと、最後まで潤くんは言っていた。

まあ、仕方ないか。
俺が大野さんに惹かれている事を潤くんは気付いていて
いろいろ聞きたい事があるハズなのに、そこは我慢してくれて
自分の気持ちをちゃんと説明できない今の俺には、とても有難い事だった。
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