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「あれ、昼寝じゃなかったですか?」

「いや・・そうなんだけど。」


昼寝以外に何か用があったのかと思い、声をかける。
それでも大野さんは、ブランケットを弄っているだけで

一体、いくつなんだって

30歳の成人男子には見えないその仕草に、思わず吹き出してしまった。


「くくくっ・・もう何なんですか?」

「何で笑うんだよ。」

「いや、あなた子供みたいだったから。何か言いたい事があるんでしょう?」


そこまで言うと、やっと大野さんは口を開いた。


「あのさ、金曜日、俺から断ろうか?」


ああ、飲み会の話ね。

気にしてくれてたのか。


「いいですよ、もう。強制参加なんでしょ?」

「そうだけど・・予定は大丈夫?」


特に予定があった訳じゃないけど、潤くんに何て説明しようかと考える。

そういう飲み会に参加しなきゃいけない事は理解してくれると思うんだけど
大野さんが一緒にいるってことに、異常に反応するんだよな。

まあ、俺にも責任はあるんだけどさ。


「あの人も分かってくれるとは思うんで、大丈夫ですよ。」

「・・そっか。」


大野さんは、柔らかい笑みを浮かべて言った。

俺と潤くんが付き合ってんの、バレてんのかなあ。

大野さんは何も言ってこないし
俺からもその話題は振らないから、本当はどうなのか分からないけど。

あの人と俺が口にする度に、大野さんの目が揺れて
それはまるで、その言葉に傷付いているかのようで

ほんの一瞬で消えてしまうその表情は、何故かいつも俺の心を締め付けた。
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