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「・・いろいろ話さなきゃいけないのかもしれないけどさ。」

「うん。」

「俺は潤くんが好きだよ。それだけじゃ、ダメかな?」


恥ずかしいのか、真っ直ぐ前を向いたまま、ニノは言った。

こう素直に好きだって言ってくれるのは、本当に珍しいことで
ニノが何をどう思っているのか、聞きたい気持ちはあったけれど
俺の事を好きでいてくれるのなら、もういいやって思えた。


「・・それだけでいいよ。」


そう言うと、ニノはホッとしたような、はにかんだような笑みを浮かべた。

その笑顔があんまり可愛くて
今朝ニノに会うまで沈んでいた気持ちは、どこへ行ったのかと思うほど
胸がドキドキと高鳴った。

ああ、今すぐ抱き締めて、キスしたい。
その首筋に顔を埋めて、ニノの匂いを吸い込みたい。

でも、ここでそんな事したら、口聞いてくれないだろうな。

もう会社は目の前だし
まばらだけど、人通りもあるし
俺は周りを見渡してキスするのを諦めた。

その代わりに、ニノの髪を乱暴に撫でてやる。


「うわ。何すんだよ。」


髪を乱されたニノが、抵抗して文句を言う。


「褒めてほしい位なんだけど?」

「は?どこを?」


何言ってんのって顔をして、ニノが俺を見る。

その耳元に手を当てて、俺は小声で囁いた。


「キスするの我慢したから。」

「・・・こんな所でそんな事したら、もう口聞かないからね。」

「だと思った。」


赤くなって俺を睨んでいるニノは、やっぱり可愛くて

ニノを離したくない。

大野さんにも
他の誰にも
渡したくない。

そんな想いだけが、胸の中に残った。
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