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あんな顔させたまま、帰すんじゃなかった。

気まずい雰囲気になって、ニノが帰ってしまってから、俺は非常に後悔した。

大野さんは関係ないって、それだけ言ってほしかっただけなのに
俺が言ってほしい事をニノは気付いているハズで

それでも言ってくれなかったって事は
・・・大野さんは大いに関係あるってことか。


「ああ・・ちくしょ~。」


食器棚の下から貰いもののウィスキーの瓶を取り出し、グラスに注ぐ。
ストレートで一息に流し込むと、喉が焼けるように熱かった。

ニノが大野さんに惹かれてる。

そう思うだけで、胸が痛む。
でも、それを知ってしまっても、俺にはどうすることも出来ない。

好きな気持ちは、もう絶対的に俺の方が勝っていて
ずっとアピールし続けた期間もあるから、それは仕方がない。

ニノが俺を好きでいてくれるなら、それだけで良かった。


一晩頭を冷やして、俺はいつもより1時間早く起きた。
会社近くの駅まで出て、改札前でニノを待つ。

ほんの10分待っただけで、ニノが改札から出てきた。
俺を見つけて、一瞬眉を顰める。

やべ。
まだ怒ってる・・よな。
あのまま帰らせて、連絡もしてないし。

ニノがツカツカと俺の前まで歩いてきて、言った。


「俺はどの位、潤くんを待たせてるの?」

「え?・・っと、10分位。」

「ああ、じゃあ良かった。この寒い中、長い時間待たせてたらどうしようかと思った。」


ニノは俺の身体を気遣ってくれてて、そのいつもと変わらない口調に、ホッとした。
二人で並んで会社までの道のりを歩く。


「あの・・さあ。」

「昨日は、ごめんね?」


何て言おうか迷っていた俺を助けるように、ニノが言った。


「いや・・俺こそ、ごめん。」


俺は自分から謝るのが、イマイチ苦手で。
こうやって先にごめんって言ってもらえると、素直に自分も謝れる。
ニノはそんな俺を見て、クスリと笑った。
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