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「ニノ。俺は本当にバレたっていいって思ってるよ?」

「・・知ってるよ。」

「言いふらすような事はしないけど、誰にバレたって恥ずかしいとは思わないし。」


潤くんが反撃に出た。
俺の肩に手をかけて、真剣な表情で言う。

もう、俺はそういうの恥ずかしいんだって。


「俺は嫌なんだよ。」


これ以上黙っていると、永遠と恥ずかしい言葉が続きそうで
俺は早々に話を切り上げようとした。


「大野さんにはバレたくなかったってこと?」

「は?」

「気付かれたの怒ってただろ。」

「何の話だよ。」


突然の展開に、つい語尾が荒くなる。


「違うって言えんの?」

「誰にも気付かれたくないの、俺は。」


そう言っても、潤くんは納得してくれない。
厳しい表情で首を横に振る。


「答えになってない。」

「何でそんな突っかかんの?」

「お前が否定しないからだろ?」


もう売り言葉に買い言葉だった。

潤くんは大野さんに気付かれたから怒ってた訳じゃないって言ってほしくて
そう言うのは簡単だったけど、ある部分で嘘を付いてる感覚もあって言えなかった。

答えを求めてしまうと、いろいろなものを終わりにしないといけない気がして

俺には、まだその覚悟が出来ていなかった。


「今日は帰るわ、俺。」

「・・・。」


気まずい雰囲気に耐えきれず、俺は腰を上げた。

潤くんは何も言わなかった。

引き止めてもらえなかったことにショックを受け、駅までの道をトボトボ歩く。

空はどんよりと曇っていて、今夜は月さえも出ていなかった。
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