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いつものように、潤くん家に上がり込んで、帰りを待つ。

ゲームをしていても、全然集中できなくて、すぐにゲームオーバーになってしまう。
諦めてゲーム機を放り出して、ソファに寝転がった。

潤くんが大野さんを傷付けたなら、それは許せなくて
何でそう思うのかは、分かりたくなくて
潤くんを好きな気持ちには変わりはないのに
このまま愛されている実感のままで、過ごしたいって思うのに

心の中で、いろんな感情が渦巻いて、溺れてしまいそうだった。


「ねえ、潤くん。」

「ん?」


潤くんが帰ってきてキッチンで作業している間、さりげなく近くに行って聞いてみる。


「なんか、最近変わった事あった?」

「・・ないよ。何も。」


フライパンで野菜を炒めながら、潤くんは伏せ目がちに言った。


「あったんだよね?」

「・・・ないって。」

「大野さんと何か話した?」

「何で・・。」

「教えて。」


俺は強い口調で言い、キッチンから潤くんを連れ出した。
晩飯はまだ完成していないけど、この際どうでもいい。

リビングのソファに座らされ観念したのか、潤くんは話始めた。

飲み会で大野さんの悪い噂を聞いたこと
どうしても気になって、本人に聞いてしまったってこと
特に関係をバラすような事は口にしていないこと

聞き終わると、俺はわざと盛大にため息を付いた。


「はあ~・・・。」

「ごめん。ニノ。俺、どうしても気になって。」


潤くんが申し訳なさそうに謝る。
とりあえず大野さんを直接傷付けた訳じゃなさそうで、俺は内心ホッとしていた。


「・・まずさあ、同じ秘書課の俺に聞いた方がよかったんじゃない?」

「知ってたんだ?」

「知ってるよ。引継ぎ受けた時に、幸せそうな顔して言ってたから。」

「・・ああ。」


思いもしなかったという風に、潤くんは頭を掻いた。


「潤くんが、俺のためを思ってくれてんのは、すげえ分かるけどさ。」

「うん。」

「そんな事聞いたら、俺らが付き合ってるって絶対気付かれるっての。」

「・・・。」

「別にいいよみたいな顔すんなよ。」


大野さんだから、気付かれたくない訳ではなくて
社内恋愛で男同士なんて、シャレになんないし
人の好奇の目に晒されるのは、苦手だし

何よりも仕事がやりづらくなるに決まってるから、社内の人には知られたくなかった。

でも、潤くんはそうは思ってないみたいで
できれば公言したいって思ってるのは、薄々気付いていた。
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