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いつもは帰るようにしてるんだけど、やっぱり最後までした後は身体が動かなくて
結局、俺はそのまま潤くん家に泊まることにした。

俺の身体をタオルで拭いて綺麗にしてくれたり
パジャマを着せてくれたり
潤くんは嬉しそうに俺の世話を焼いている。

いつもと同じように、俺はされるがままになっていた。


「熱いお茶飲むけど、いる?」

「うん。」

「ちょっと待ってろ。」


俺の頭をポンポンと撫でて、潤くんは台所に行った。

基本的に潤くんは、とても優しい。
ブツブツ文句を言いながらも、結局俺を甘やかしてくれる。
潤くんと一緒にいると、本当に俺なんかを好きでいてくれるんだなって、感じられる。

ベッドに寝転ぶと、潤くんの匂いがした。

大野さんと時々一緒に帰るようになって
住んでいる所が隣の駅だから、ずっと一緒の電車で
何を話しても、新しい発見があって
知らない部分を知る度に嬉しくて

大野さんの割合が自分の中でだんだん大きくなっていくのが、正直怖かった。

だから

都合がつく時は自分の家と反対方向の潤くん家に来るようにした。

大野さんと過ごす時間が少しでも短いように。
潤くんと過ごす時間が少しでも長いように。

その夜は、熱いお茶を二人で飲んで、潤くんに抱き締められたまま眠った。



「俺、早めに行きたいから、先に出るね。」


翌朝、まだベッドでまどろんでいた潤くんに声をかけた。
あと30分位寝ていても余裕のある時間だ。


「ん~。ネクタイ位、替えていった方がいいんじゃない?」

「え、そう?別にいいよ。」


確かに俺は昨日と同じ格好だけど。
ネクタイの柄なんて、覚えてないよね。

そう思って出ようとしたけど、潤くんに腕を掴まれ、ベッドに引っ張られた。

俺の肩口に顔を埋めて、潤くんが呟く。


「・・・朝からニノがいるって嬉しい。」

「朝から恥ずかしい事、言わないでよ。」

「ははは。・・身体、平気か?」

「うん。大丈夫。」

「そっか。」


潤くんはホッとしたように微笑んだ。

かなり気を使って抱いてくれたから、そこまで身体は辛くない。
自分からしようって言い出したし、辛くたって全然構わないんだけどね。

俺の頬に軽くキスをして、潤くんはまた毛布にもぐりこんだ。


「ネクタイ、選んでけよ?」

「はいはい。」


そのまま出るのを諦めて、俺は潤くんのクローゼットを開けた。
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