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出来上がったパスタとスープをリビングに運ぶ。
食べながら話すのは、だいたい仕事や会社の人の事。


「そういや、最近相葉ちゃんに会った?」

「本人には会ってないけど、変な写真は見た。」

「下着姿の?」

「あれ、潤くん何で知ってんの?」


ニノが不思議そうに小首を傾げる。

俺はしばらく前に櫻井課長から呼び出された話をした。
どうやら経緯を知っていたらしく、ニノは途中で笑い出した。


「あははは。相葉さんがモデルになったの、潤くんのせいだったんだ。」

「俺のせいじゃねえよ。」

「いや、潤くんのせいだね。」


ニノに力強くそう言われて、やっぱ俺のせいかと思ってしまった。
本人が承諾したんだから、俺は関係ないような気もするけど。

まあ、でも推薦したのは俺か。
迷惑かけたつもりはないけど、飲みに誘ってご馳走してやるか。


「今度、3人で飲みに行くか。」

「うん。」


俺の言葉に、ニッコリ笑ってニノが頷く。

そういえば入社したての頃、よく3人で飲みに行っていた事を思い出した。

俺はニノだけを誘う勇気がなくて。
後から入ったくせに、すぐにニノと仲良くなった相葉ちゃんが羨ましかった。
だから、相葉ちゃんをダシにして、よくニノを誘ってたなあ。


「潤くん。ずいぶん遠くに行ってるけど?」


ぼーっとしていた俺は、ニノの声にハッとした。
ニノはニヤニヤ笑いながら、俺を見ている。


「あ、ああ。ごめん。」

「せっかく俺が愛の告白したのに、聞いてないんだもんね。」

「は?何て言ったんだよ。」


愛の告白って本当かよ。
疑いながらも聞きそびれた事が悔しくて、つい乱暴に言ってしまう。

ニノから好きって言ってくれることは、滅多になくて。
それがふざけて言ってる事でも、俺にとっては貴重だった。


「もう言ってやんない。」

「え、ちょ・・ニノ!」


俺をからかって笑っているニノを捕まえて、抱き締める。
その耳元で、できるかぎりの甘い声で囁いた。


「お願い。もう一回、言って?」

「・・・潤くんの、そんな律儀な所は、とても好きだよって言ったんだよ。」


恥ずかしさを隠すように、ぶっきらぼうにニノは言った。
顔が少し赤くなっているのが分かる。

ああ、可愛い。
本当に好き。


「やべ。超うれしい。」

「・・ちょっと、痛いってば。」


思いっきり抱き締めると、ニノが文句を言ったけど、俺はそのまま唇を合わせた。
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