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櫻井課長からもらったデータをパソコンの中に取り込んでみる。

写真のデータを開いてみて、俺は吹き出した。


「ぶっ。」

「何?どうしたの?」


大野さんと櫻井課長がパソコンの側に寄ってくる。


「モデル、相葉ちゃんに頼んだんだ?」


面白そうに画面を眺めて、大野さんが言った。

それもそのはず。
パソコンの画面には、下着姿でピースサインをしている相葉さん。

職権乱用して頼んだモデルって、相葉さんなのか。
そういや櫻井課長と同じ課だったな。


「うん。顔は映んないようにするから、好きにしていいよって言ったら、こうなった。」


櫻井課長は苦笑しながら言った。

写真を見ても、撮影時の賑やかな様子が伝わってくる。
でも、どれも顔はふざけてるけど、ちゃんと下着モデルとして使えそうなものばかり。

ふと大野さんが俺の肩に手を置いて、画面を覗きこんできた。

たったそれだけの事なのに、俺は身体が動かなくなってしまって。
肩に置かれた手ばかりに、意識がいってしまう。


「表情はともかく、良い出来じゃん。」


画面を見終わって、大野さんが俺の側から離れた。
気付かれないように、俺はホッと息を吐き出す。


「そうなんだよ。俺も相葉ちゃんが実はモデル体型って事に初めて気付いたんだよ。」

「普段、うるさいから気付かないんですよね。」


俺の言葉に櫻井課長が同感したように笑った。

櫻井課長は、相葉さんの上司だからってのもあるけど、よく面倒を見てるみたいで。

何だかんだ文句言いながら、いつも俺のこと助けてくれるんだよって。
相葉さんが嬉しそうに話していたことを思い出す。


「あれ、ニノ。相葉ちゃんと仲良いんだっけ?」

「はい。まあ、ほとんど同期みたいなもんです。」


相葉さんは、1コ年上だけど、ほとんど同じ時期に入社したから同期みたいなもんだ。

底抜けに明るくて、人と話すのが大好きで、ホント営業向きって感じ。

大野さんは柔らかい表情を浮かべて、俺の話を聞いている。
その表情を見ながら、さっきの事を思い出してしまった。

肩に手を置かれるなんて、全然普通の事だし。
他の人にされたこともあるけど。
あんな反応をしてしまったのは初めてで。

それがどういう事なのかは、考えないようにした。
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