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「・・・駄目だ。」
「何で?」
「あの人には・・・普通に女の子と付き合ってほしいんだよ。」
「男は自分一人にしとけってこと?」
痛い所を突かれて、頭に血が上った。
俺がどんな想いで智を手放したか知らないくせに
どんな想いで女の子と喋る智を見ていたか知らないくせに
「うるせえよ!・・・お前に、智を幸せにする覚悟があるのかよ。」
「あるよ。」
「結婚もできないし、子供も産めないだぞ?」
「・・・そりゃ、そうだろうね。」
「孫の顔を見せられなくてすみませんって、お前と智の親に言えるのかよ!?」
胸の内を晒すように叫んでいたら、涙が出てきた。
そう。
きっかけは、些細な一言。
智のお母さんが『いつになったら孫の顔を見せてくれるのかしら』って
ぼやいていたのを、たまたま聞いてしまった事が始まりだった。
・・・俺と付き合ってさえいなければ
罪悪感に苛まれて、眠れなくなった。
どうせなら嫌われてしまった方がいい。
そう思って、智にバレるように女遊びを始めた。
「・・・馬鹿だね。」
「何すんだよ!」
ギュッと抱きしめられて
その腕の中で暴れようとして
それすらも抑え込まれた。
「・・・ニノ。お母さんって人は、さ。」
「・・・。」
「子供が幸せでいれば、それでいいと思える人たちだよ。」
相葉さんの静かな声が心に響いた。