番外編-2


一度キスをしたら、止まらなくなった。

桜の木に和を押しつけて
何度も角度を変えて、甘い咥内を貪る。


「ちょ・・・っ・・・。」


抵抗しようとする和の手を封じ込めて、調子にのっていると
結構な力で、押し退けられた。


「いて。」

「何すんだよ、ばかっ。」


声を殺して怒ってる和は可愛くて
ちっとも怖くない。


「こんな所で盛るんじゃねえっ。」

「・・・くくっ。」

「何、笑ってんだよ。」

「いや、あんまり可愛いから。」


真顔でそう言ってやると
和は一瞬顔を真っ赤にして

それから


「・・可愛くなんか、ねえよ。」


とぼそりと呟いた。


少し物憂げな表情が、和の複雑な心情を物語っているようで

好きなら好きでいいのに
難しいこと考えるんだから

と思ったけど


「・・・。」


言葉の代わりに煙草を探して、火を点けた。


「あ。」


その時
突風が吹いて
和のキャップが飛ばされた。


桜吹雪が舞い散る中
和の金色の髪が風に揺れてキラキラと輝く。

なんて
なんて綺麗なんだろう。


飛ばされたキャップを拾ってやるのも忘れて
ただ、その景色に見惚れていた。


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