番外編-1
深夜12時を過ぎた頃
風呂から出てきてリビングに向かうと、ソファーに座っている人影が見えた。
「・・・来てたのか。」
「うん。」
無造作に投げられた高そうなジャケットを拾い上げ、ハンガーに掛けてやる。
あの日、和が鍵を持って帰ってから
こうしてフラリと現れる事が増えたけど
コイツは灯りも点けずに、ただソファに座り込んでボーっとしていることが多い。
何を見ているのか。
何を思っているのか。
俺には分からないけど。
まだ身に纏っている空気が緊張していて
二代目って仕事も大変なんだなと、それだけの感想に留めておく。
詳しい事情を聞くのは簡単だけど
俺には何も手助けできないし
コイツもそれを望んでいないだろうから。
「・・・酒でも飲む?」
「先生は?」
「寝酒を一杯飲もうかなと思ってた。」
「じゃ、俺も。」
お気に入りの焼酎で水割りを作り、和に差し出すと
少し空気が和らいだ。
「ありがとう。」
「うん。」
軽くグラスの縁を合わせて、液体を流し込む。
ゴクゴクと動く和の喉仏に誘われてるような気がして
何となく耳元から顎のライン、首筋へと指を這わせた。
「・・・何?」
気持ち良さそうにしてるくせに、素っ気なく突き放される。
何だろう、この反応。
・・・本当、面白ぇなあ。
「・・・別に。」
負けじと素っ気なく言い放って、指先での愛撫を続ける。
耳の後ろをくすぐり、唇までゆっくりと指を滑らせ
和の息が上がってきたのを見計らって、口の中に指を突っ込む。
「・・・んっ・・・。」
見せつけるように俺の指に舌を絡め、キツく吸い付いてくる様は
好戦的で淫らだ。
「これも舐めてって言ったら、噛まれそうだな。」
下着から少し形を変え始めたモノを取り出すと、和がクスリと笑った。
「噛まれそうって思いながら、舐めさせんの?・・・度胸あるなあ。」
「噛むなよ?」
「さあね。」
そう言いながら、和が俺のモノを口に含む。
まあ、本気で噛むようなことはしないだろうけど
噛まれたら噛まれたで、仕方ないと諦める。