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「今までも、これからも、俺はただの医者だし。」

「うん。」

「お前の組だろうと、他の組だろうと、ウチに来た奴は診る。」

「うん。」

「・・・俺を見くびんじゃねえぞ?」


ニヤリと口元を上げて笑った先生は
それはそれは格好良かった。


そうだな。

それを気にして上辺だけの付き合いをするには、もう気持ちが入りすぎている。

仕方ない。

・・・・・腹を括るか。


「分かった。もう言わない。」

「うん。」


先生は嬉しそうに頷いて
パンツ一枚にした俺の身体を点検し始めた。


殴られたのは顔が中心だし
身体のヤバそうな部分は庇ってたから、あんまりダメージはないと思うんだけど

ま、診といてもらうか。


大人しくされるがままになっていると
医者の顔をしていた先生の目が色気を帯び始め

俺の身体を診ていた手が胸の尖りに触れ、いやらしく動き出した。


「・・・・っ・・・あっ・・・。」

「そんな声出したら、診察できなくなるだろ?」


ニヤニヤと笑う先生を軽く睨んで
この人ならやりかねないと半分思いながら、言い返す。


「・・・いつも診察で乳首摘んでんのかよ。」


そんな訳ないだろと笑った先生が片方のソレを口に含んだ。


「・・・んっ・・・・。」


熱い舌で転がされて
柔らかく噛まれて
ビリビリと電流のように、甘い刺激が身体中を駆け抜ける。


いつもより性急に
いつもより荒々しく

俺の身体を開いていく先生の顔にいつもの余裕が感じられないのは、気のせいだろうか。


「・・・センセ・・・。」

「こんな時くらい智って呼べよ。」


こんな時だけ名前にこだわる先生が口を尖らせる。

・・・まったく、もう。

そんな顔されると、可愛く見えちゃって困るっての。


「・・・智・・・なんか・・・焦ってる?」

「ぶっ。」


俺の言葉に吹き出した先生が、腹の上に顔を埋める。


いや、余裕がないのは俺も同じだけど

いつも余裕な顔してるこの人の、こんな顔見るのは初めてだったから、さ。


「・・・誰のせいだと思ってんだよ?」

「え?」

「お前が連絡寄越さないせいで、ご無沙汰なんだからな。」


あ、そう言えば、そうだった。


自分のした仕打ちをすっかり忘れていた俺を責めるように
先生が横腹の柔らかい部分に吸い付く。


同時に俺の中に入っていた指が、ポイントを掠めるように動く。


「・・・んっ・・・あ・・・やっ・・・・。」


もう少しの所で止まってしまう指に、自然と腰が浮いてしまう。


・・・・じれったい。

ってか、焦らされてんのか。


「・・・智・・・。」

「ん?」


いつの間にか余裕を取り戻した先生が、何にも気付かないフリして首を傾げる。


・・・・ははっ。

俺の負けだな。


「ごめん。俺が悪かった。・・・早く・・・欲しい・・・。」

「ん。」


先生は男らしくて最高に色っぽい表情で俺を見下ろして
ゆっくりと身体の奥深く目指して侵入してきた。


  
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