O
切ない目で見つめられて、中心に手を導かれた。
既に形を変えているソレをゆっくりと擦る。
「・・・っ・・・・ふ・・・・・。」
う~ん。
コイツが連絡寄越さなかったせいで、ご無沙汰だし
さっきのキスでスイッチ入ったのも分かるんだけど
どうしたって、邪魔が入るからなあ。
俺の手にビクビクと反応している和を見ながら、そんな事を考えていると
表の方から車の急停止する音が聞こえてきた。
「ちっ・・・。」
軽く舌打ちをして、和が俺から離れる。
いやいや。
舌打ちしたいのは、こっちだっての。
「和っ!!」
若頭の櫻井さんが血相を変えて、飛び込んでくる。
この人は組同士の駆け引きをしていたみたいだから
情報屋を使って、携帯電話からおおよその位置が特定出来た時も
和を迎えに行ってくるとしか伝えてなかったから、さぞ心配したことだろう。
「翔さん、心配かけてごめんね。」
とびっきりの上目遣いで、和が先手を打つ。
その顔を見て、櫻井さんがぐっと言葉を呑み込む。
ははっ。
面白えな。
いろいろ言いたい事はあったんだろうけど
櫻井さんは和には何も言わず、俺に向かって頭を下げた。
「・・・先生。ありがとうございました。」
「いや、別に。」
「この借りは、どんなことをしても返します。」
・・・借り、ねえ。
きっと、一般人に助けてもらったってのが引っかかってるんだろうけど
俺は恩を売るために和を助けたんじゃない。
でも、まあ
そう言うのなら、吹っかけてみるか。
「じゃ、コイツを一週間預かりたいんだけど。」
「・・・・。」
「は?」
和が何言ってんだとばかりに俺を見る。
だって、さ。
借りを返したいんなら、和を寄越せって思うのは当然だろ?
もちろん、入院が必要なほど怪我をしている訳じゃない。
顔は結構殴られたみたいだけど、身体にダメージはないハズだ。
少し考え込んだ後
諦めたように肩を竦め、櫻井さんは頷いた。
「・・・分かりました。診断書は出していただけますよね?」
「もちろん。」
「おいっ。勝手に決めんなよ。」
「いいから、いいから。」
文句を言っている和をなだめながら、俺には櫻井さんの思惑が分かってしまった。
きっと
この人は診断書を相手の組に見せ、慰謝料でもせしめるつもりなんだろう。
もしくは、何か有利な取引でもするとか。
たった一週間だけでも和を独り占めできるなら、俺にはどっちでもいい話だ。
「・・・ま、ゆっくりしてきな。」
櫻井さんが和の金髪をポンポンと撫でて、甘く微笑む。
「でも・・・。」
「その顔見たら、雅紀が泣くぞ?」
「・・・そうかもしれないけど。」
俺たち三人しかいないからか
口を尖らせている和は、いつもより子供っぽくて可愛い。
こんな傷だらけの顔なのに可愛いなんて、さ。
もう
櫻井さんがコイツを必要以上に甘やかすのも
他の奴らが忠誠心以上の目でコイツを見るのも
仕方ないか・・・・と思う。