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潤くんとそんな話をしたのも、すっかり忘れた頃

その日は天気の良い日曜日で
俺が目を覚ました時には、もう昼近くになっていた。


「・・・大ちゃん。もう昼だよ。」


隣でスヤスヤと寝息を立てている人に向かって言ってみたけど
寝返りを打っただけで、起きる気配はない。


「・・シャワーでも浴びるか・・イテテ。」


俺は痛む腰を擦りながら、ゆっくりと起き上がった。

全く、毎回毎回。

大ちゃん家に週に2、3回泊るようになって、しばらく経つけど
何回泊まっても、大ちゃんは激しく俺を抱く。

翌日の腰の痛みや身体の怠さに文句は言うけど
・・・決して、不満がある訳じゃない。

シャワーを浴びて部屋に戻ると、大ちゃんがベッドの上にちょこんと座っていた。


「・・・起きたなら、俺も起こせよ。」

「声かけたけど、あんた起きないんだもん。」

「かずが隣にいないから、ビックリして起きたよ。」

「ははっ。何だ、それ。」


口を尖らせて文句を言っている大ちゃんは、子供みたいで可愛い。

下着姿でその前に立つと、大ちゃんは眩しそうに目を細めた。


「あちこち噛むなよ。」


身体の至る所に付いている内出血の跡を指して、俺は文句を言った。

バイト先で着替えたりなんかする時に、結構気を使うんだよね。

そんな俺の苦労なんか知らず、大ちゃんが頬を膨らませる。


「・・・いいだろ、別に。」

「そりゃ、あんたはいいだろうけど。」

「何だよ。文句あんのかよ。」


冗談半分で絡んでくる大ちゃんが面白くて、吹き出してしまう。

それでも、まだ頬を膨らませていたから、俺はその首元に唇を寄せた。


「・・・っ・・・。」


大ちゃんが息を飲む気配が伝わってくる。

思いっきり吸い付いてから唇を離すと、そこには立派なキスマークが出来ていた。

ざまあみろ。

たまには、キスマークの苦労も味わってみろって


「お返し。」

「・・・誘ってんの?」

「違うよ・・・わ、馬鹿。やめろって。」


気付くと、俺は大ちゃんに組み敷かれていた。

大ちゃんは、キラキラと欲情に濡れる目で俺を見下ろして、ニヤリと笑った。


「身体、キツイんだろ?」

「誰かさんのおかげでね。」

「キスだけで許してやるよ。」

「え、ホント?」

「ほら、口開けて?」

「・・・んっ・・・・。」


熱い舌が俺の口内を犯す。

さんざん抱かれた昨夜の記憶と
その激しいキスに、じわじわと身体中に快感が広がってくる。

キスだけで許してやるよなんて

・・・ああっ、もう。

こんなキスされて、それだけで終われる訳ないっての。

もっと刺激が欲しくて
舌を絡めたまま大ちゃんの手を取り、勃ち上がり始めた自分のモノに導くと

大ちゃんはくぐもった笑い声を洩らした。
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