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久しぶりに激しく抱かれて、気付いたら身体を動かす事も出来なくなっていた。

大ちゃんは俺の隣に座って、平気な顔して水を飲んでいる。

割とハードに動いてたと思うんだけど
この人、どんだけ体力あるんだろう。

いや、体力というより性欲なのか?

俺はそんな取りとめのない事を考えていたんだけど

大ちゃんがゴクゴクと水を飲んでいるのを見て、とても喉が渇いていたのを思い出した。


「・・大ちゃん。俺にも、水。」


自分の発した声が、風邪を引いた時みたいな掠れた声でビックリする。

さんざん喘がされたから・・・。
もう、恥ずかしいなあ。

俺を見て、大ちゃんがニヤリと笑う。


「声、出てないよ?」

「馬鹿・・誰のせいだよっ!」


大ちゃんは笑いながら、ペットボトルの水を口に含んで
そのまま俺の口に流し込んだ。

大ちゃんの口から流れてくる冷たい水が気持ちいい。


「ん・・・もっと。」


さらにお願いすると、大ちゃんはもう一度同じ事をしてくれた。

ついでとばかりに、舌を絡ませて唇を離す。

俺の口から零れた水を指でなぞって、大ちゃんは呟いた。


「やらしいなあ。」

「・・もう無理だからね?」

「分かってるよ。」


クスッと笑った大ちゃんには、余裕が感じられて
訳もなく悔しくなって、俺はつい余計な事を言ってしまう。


「大ちゃん。浮気するなら、バレないようにしてよね?」

「うん。」

「あ、やっぱり、あんた酷い人だなあ。」


素直に頷いた大ちゃんを見て、後悔した。

そうだよなあ。
今まで、さんざん見てきたもんな。

この人にそういう事を求めるのが、間違ってるんだろうな。

考え始めた俺を見て、大ちゃんが吹き出した。


「ははっ。嘘だよ。だって、お前に隠し通せるハズないだろ?」

「うん。絶対に無理だね。」

「だから・・・浮気なんてしないよ。」

「・・・うん。」


大ちゃんは優しく俺の頭を撫でてくれた。

この人の節操のなさがすぐに改善するなんて思わないけど
まあ、今はそう思ってくれてるだけで、いいか。

俺を見つめる大ちゃんの柔らかい表情と、その暖かい手に
俺は何だかとても安心して、眠りに落ちた。
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