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初めからやり直そうと言っても
かずは驚いたように俺を見ているだけで、何も答えてくれなかった。

あれ?
ちゃんと伝わってないのかなあ。

翔くんから言われて
本当に必要なのは誰なのかって、ずっとずっと考えて

俺にはかずが必要だって、やっと答えが出せた。

この4年間ずっと
心のどこかで、かずが待っていてくれるって思っていたからこそ

断る理由がない限り、俺を好きだと言ってくれる人とは付き合ってきたし
それなりに、好きにもなった。

松本くんの事だって、ちゃんと好きだった。

だけど、分かってしまったから
かずが必要なんだって分かってしまったから

身体から始まってしまった関係だけど、ちゃんと初めからやり直したかった。


「・・返事は?」


沈黙に耐えきれず、返事を促す。

かずは照れたような怒ったような表情で、俺を睨んで言った。


「この4年間、ずっと苦しかった。」

「うん。ごめん。」

「だけど・・・身体だけでも、あんたに求められていたから・・・俺は幸せだった。」

「かず・・・。」

「だから、なかった事になんかするなよ。」


・・・もう
この素直じゃなくて、可愛い人は何だろう。

この4年間をなかった事にするなんて、一言も言ってないのに

俺を見つめるウルウルした瞳も
そのフワフワの髪も
華奢な身体も

全てが愛おしかった。


「かず、好きだよ。俺と付き合って下さい。・・・これでいい?」

「・・・うん。」


泣きそうな顔で飛び込んできたかずを、俺はしっかり受け止めた。

かずと気持ちが通じた事に、俺は感激した。

ずっとずっと
かずは待っていてくれたんだ。

もう離すもんかって
誰にも渡すもんかって、心の中で強く思った。
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