A

1階までの階段を猛ダッシュで駆け下りる。

ただ、抱きたかったから抱いたって
そんなの酷い。

せっかく大ちゃんの事を忘れようとしてたのに
そんな理由で引き戻されるなんて
あまりにもニノが可哀そうだ。

その時、俺は大ちゃんを殴ってしまって、気持ちが高ぶっていたし
店にも戻らないといけなかったから、かなり急いでいて

だから

階段を上ってくる人がいるなんて、全く思っていなかった。


「・・・うわっ!!」


ぶつかる!!

そう思った瞬間
俺は身体を右に倒し、その人と衝突する事だけは避けたんだけど

その結果
バランスを崩して、階段から転がり落ちてしまった。


「・・・イテテ。」


身体のあちこちが痛い。

でも、これは大ちゃんを殴ってしまった罰なのかなって思う。


「おい。大丈夫か?」


ぶつかる寸前だった人が、慌てて俺の様子を見に来る。

その端正な顔立ちは、確か


「・・潤くんだっけ?」

「え?何で、俺の名前・・・あ、相葉ちゃん?」

「え?あ、うん。」


直接話をしたことはないけど、顔と名前は知ってるっていう何だか変な対面になってしまった。

潤くんは、倒れたままの俺をゆっくりと起こして座らせてくれた。


「変に痛い所ない?」

「あ、足首捻ったかも。でも大丈夫だから。」

「大丈夫じゃないだろ。」

「いいから。・・・大ちゃんの所、行ってあげなよ。」


大ちゃんの名前を出すと、潤くんは不思議そうに俺を見た。
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