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それからしばらく、俺はパソコンに向かってたし
大ちゃんは漫画を読んだりしてた。


「かず。こっち来て?」

「ん?何?」


ふいに大ちゃんに呼ばれて、俺はベッドの隣に腰掛けた。

肩が触れ合う位の距離

今までだったら、ここでキスしてたなって
そう思っていたら
大ちゃんの顔が近付いてきた。

え、何?

どういう事?


「・・・大ちゃん!」

「しっ。声でかいって。」


混乱して声を上げると、大ちゃんの手が俺の口を押さえた。

いや、確かに
大きな声を出して、母親に部屋まで来られるのは困る。

でも

この状況は、どういう事だよ。

精一杯、大ちゃんを睨んでみたけど、あまり効果がなかったみたいだ。

大ちゃんは俺の口を押さえていた手を離して、そのままキスをしてきた。


「・・・っ・・・ん・・・・。」


口を閉じようと頑張ってみても、大ちゃんの舌は巧みに俺の口の中を動きまわる。

本当に何なんだよ。
何で、またキスなんかするんだよ。

懐かしいその感触と快感に溺れてしまいそうで
そんな自分が許せなくて、涙が出そうになってくる。

俺をベッドに押し倒して、大ちゃんはやっと唇を離した。


「かず。しようよ?」


大ちゃんは柔らかく言ったけど
その表情は驚くほど凶暴で、色っぽくて

俺は反論するのも忘れて、少し見惚れてしまった。
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