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早く絵の続きを描きたい大ちゃんに、半ば追い出されるような形になって
潤くんと二人で駅まで帰ることになった。

俺は二人だけの貴重な時間を邪魔された事にムッとしていて、ずっと無言で歩いていた。

そのうち沈黙に耐え切れなくなった潤くんが口を開いた。


「・・ニノ。ごめん。」

「もういいって。」

「お前が嬉しそうに走って行ったから、彼女でもいんのかなと思って。」

「残念ながら、彼女ではなかったね。」


俺のツンツンした返答に潤くんはどう反応していいか、困っているみたいだった。

今までこの人の周りに俺みたいなヤツは、いなかったんだろうなって思う。

潤くんは、びっくりするほどの男前で
その気になれば、夜のバイトでたくさん稼げるだろうって思うのに
コンビニで深夜までバイトしてたりしてて
派手な外見とは違って、とても真面目で優しい人だ。

彼の目に俺と大ちゃんの関係は、どう映ったんだろう。


「あの人、誰?」

「大ちゃん?」

「うん。」

「何だろう。近所の人かな。」


はぐらかした俺の答えに、潤くんは首を傾げた。

実際、家が近所だから間違ってる答えではないんだけどね。


「・・・大ちゃんが中学校の時から、ずっと知ってる。ああ見えて、3つ上だからね。」

「3つ?・・今、4年生ってこと?」

「去年休学してたから、3年生だけど。」

「そうなんだ。」


潤くんは興味津々といった感じで聞き入っている。

なんか・・・嫌な感じだなあ。

昔から、大ちゃんは男女問わず、いろんな人から好意を寄せられる事が多くて
潤くんは、そういった人たちと同じ反応をしている。

そういった人たちは、決まって同じ事を聞いてくるんだ。


「ニノは・・あの人と付き合ってんの?」

「付き合ってないよ。」


その問いに対する答えは、昔から同じだ。

付き合ってるって言えるような関係だったら、どんなにいいだろうって思う。
だけど、俺はその関係を望まなかった。

俺だけじゃない。
大ちゃんも、望んでいなかった。

俺たちの関係は、ただの身体の繋がり。
お互い気が向いた時にセックスする。
それだけの関係が、もう何年も続いていた。
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