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久しぶりに晴れた日曜日のことだった。

俺は明日提出するレポートの作成のため、家に籠っていた。

2階の自分の部屋でパソコンに向かっていると、外から母親の弾んだ声が聞こえた。

お客さんでも連れてきたのかなって
それ位にしか思ってなかったんだけど

しばらくして、階段を上がってくる音が聞こえ、部屋の扉がノックされた。

顔を覗かせたのは
照れくさそうに頭を掻いている大ちゃん


「・・・どうしたの?」

「はは。そこのスーパーでかずの母ちゃんに捕まった。」

「実家に帰ってたんだ?」

「うん。久しぶりにね。」


俺の部屋に大ちゃんがいる。

大ちゃんが一人暮らしを始めてからは、俺がそっちに行く事が多くなったから

ほんと何年ぶりだろう。


「かずの部屋、変わってないな~。」

「うん。物増やすと、狭くなるし。」


懐かしそうに部屋を見渡す大ちゃんの横顔に
気持ちが落ち着いてきたとはいえ、いろいろ考えてしまう。

俺とセックスしなくなったっていうだけで、大ちゃんの態度は以前と変わらない。

今までと同じように、バイト先に一人で来たりするし
今までと同じように、俺を可愛がってくれる。

そう
・・・弟みたいに。


「そういやさ。相葉ちゃんに言い寄られてるんだって?」


俺のベッドに腰掛けて、ニヤニヤ笑いながら大ちゃんが言った。

ああ。
早速、潤くんが喋ったな。


「うん。まあ。」

「どうすんの?」

「え、どうするって別に。」

「付き合わないの?」

「ん~。今、考えてるトコ。」

「好きになれそうなんだ?」

「うん。そうかも。」

「・・・そっか。」


大ちゃんがこんなに質問をしてくるのは、珍しい。

何だろう。
俺に早く恋人を作ってほしいのかな。

俺に幸せになってほしいと言ってたから、その方が安心できるんだろうけど
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