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かずとの関係を終わりにしてから、2週間が経った。

俺は週に何回か松本くん家に泊りに行くようになって
その度に身体を重ねた。

松本くんは初めてにしては筋が良く、十分俺を満足させてくれる。

その端正な顔が快感に歪むのを見ているだけで、興奮できたし
俺の身体に夢中になってくれたのは、嬉しかった。

バイトもしないで、自分の好きな絵を描く事が出来て
優しくてカッコイイ恋人がいて

誰が見たって、俺は幸せな毎日を過ごしている。


・・・そのはずなのに

心の奥底で不安が渦巻く。

この不安の正体は何だろう?


松本くんがバイトの日
俺は一人でかずのいる居酒屋に足を向けた。

客を案内する係だったかずが、驚いたように目を見開く。


「・・・大ちゃん。」

「久しぶり。」


あれ以来、かずに会うのは初めてで

何ていうか。
懐かしさで胸がいっぱいになる。


「潤くんは、バイト?」

「そうなんだよ。だから、飯食わせて。」

「なんだ。もう、振られたのかと思った。」

「ばか。そんなんじゃないよ。」


かずの態度が以前と変わらなくて、ホッとする。

いつもの席に案内されて、いつものように晩飯を食う。

だけど
いつもは何だかんだ言って、かずが周りをウロウロしているのに
今日はそれが少ない気がする。


「じゃ、帰るよ。」

「ありがとうございました。」

「かず。今日、あんま席に来なかったな?」

「え、ああ。忙しかったからね。」

「そっか。」

「一人で来るからだよ。今度は誰か連れてきなよ。」

「ん。そうするかも。」


たまたま忙しかったのかって
その時は、かずの言葉を信用したけど

その後何回行っても、以前のように頻繁にかずが俺の席を訪れる事はなかった。
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