M
俺はこの春入学した大学で、面白そうなヤツと知り合いになった。
同じ新入生だけど、どこか冷めていて、なんか世の中を諦めてるみたいな
第一印象は、そんな感じだった。
でも、仲良くなっていくにつれて、別の部分も見えてきて
割と人懐っこくて、よく笑うし
頭の回転が速いから、受け答えも面白い。
入学して半月経った頃
大学にいる間は、ニノと一緒に過ごす事が多くなっていた。
「潤くん。次の授業、取ってるよね?」
「ああ。お前もだろ?」
「うん。そうなんだけど・・・。」
言い淀んだニノを見て、またかと思った。
こいつは突然授業に出ないことがあって
別に代返頼まれるとか、そういうんじゃないんだけど
普段、案外真面目に授業に出ている分、何となく俺はその理由が気になっていた。
「・・ったく仕方ねえな。あとでノート見せてやるよ。」
「ありがとう!潤くん。」
大げさに喜んで、ニノは走って行った。
その後姿は嬉しそうに弾んでいて、まるで恋人にでも会いに行くかのようだった。
あっちの方角は、芸術学科がある建物か。
もしかして、そこに彼女でもいるのかな。
あの細い体に釣り合うのは、どんな人なんだろうか。
ニノはあまり自分の事を話すのが好きじゃないみたいで
俺が知ってるのは、大学から1時間位の所にある実家から通ってるということと
夜は居酒屋のバイトに入っていて、結構忙しいってこと位だ。
気になると抑えられないのは、俺の悪い癖。
授業が終わった後、俺の足は芸術学科の建物へと向かっていた。
普段足を踏み入れないそこは、目にする物全てが新鮮で面白かった。
絵具の独特な匂い。
教室に転がるよく分からない彫刻。
3階より上の階は、作業室が多いようだ。
ある部屋の前で、床に座って絵を描いている人を見かけた。
少し茶色い短い髪に、小麦色に焼けた肌。
俺のイメージする絵を描く人とは、全然違うけど
でも、その人は一心不乱に絵を描いていて。
何故だか、俺はその姿に釘付けになった。
同じ新入生だけど、どこか冷めていて、なんか世の中を諦めてるみたいな
第一印象は、そんな感じだった。
でも、仲良くなっていくにつれて、別の部分も見えてきて
割と人懐っこくて、よく笑うし
頭の回転が速いから、受け答えも面白い。
入学して半月経った頃
大学にいる間は、ニノと一緒に過ごす事が多くなっていた。
「潤くん。次の授業、取ってるよね?」
「ああ。お前もだろ?」
「うん。そうなんだけど・・・。」
言い淀んだニノを見て、またかと思った。
こいつは突然授業に出ないことがあって
別に代返頼まれるとか、そういうんじゃないんだけど
普段、案外真面目に授業に出ている分、何となく俺はその理由が気になっていた。
「・・ったく仕方ねえな。あとでノート見せてやるよ。」
「ありがとう!潤くん。」
大げさに喜んで、ニノは走って行った。
その後姿は嬉しそうに弾んでいて、まるで恋人にでも会いに行くかのようだった。
あっちの方角は、芸術学科がある建物か。
もしかして、そこに彼女でもいるのかな。
あの細い体に釣り合うのは、どんな人なんだろうか。
ニノはあまり自分の事を話すのが好きじゃないみたいで
俺が知ってるのは、大学から1時間位の所にある実家から通ってるということと
夜は居酒屋のバイトに入っていて、結構忙しいってこと位だ。
気になると抑えられないのは、俺の悪い癖。
授業が終わった後、俺の足は芸術学科の建物へと向かっていた。
普段足を踏み入れないそこは、目にする物全てが新鮮で面白かった。
絵具の独特な匂い。
教室に転がるよく分からない彫刻。
3階より上の階は、作業室が多いようだ。
ある部屋の前で、床に座って絵を描いている人を見かけた。
少し茶色い短い髪に、小麦色に焼けた肌。
俺のイメージする絵を描く人とは、全然違うけど
でも、その人は一心不乱に絵を描いていて。
何故だか、俺はその姿に釘付けになった。
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