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なんか・・・巻き込まれてしまった。

まあ、でも
どうせ家に帰っても、一人で考えこむだけだろうし
誰かといると少しでも気が紛れるかもしれない。

そう思い直して、俺は駅に向かった。
相葉さん家の最寄り駅で電車を降り、店長に連絡を入れる。

名乗った途端に、店長は相葉くんから聞いてるよと話を始めた。


「熱があるんだって?」

「・・はい。すみません。」

「明日もシフト入ってないよな?」

「はい。・・あ、今日の代わりに明日入りますけど。」

「ばか。ちゃんと休んで、早く風邪治せ。」

「・・はい。迷惑かけてすみません。」


口は悪いけど優しい店長に心配されて、申し訳なく思った。

風邪でもないし、熱がある訳でもないんだけど
こんな顔じゃホールに立てないからなあ。

これからはバイト前に泣かないようにしよう。

だけど・・・大ちゃん。
大ちゃんにあんな事言われたら
俺は
もうどうしていいか分からなくて

あ~、また泣きそう。

大ちゃんとの会話を思い出して、また涙腺が緩みそうになった。

だけど、ここは駅前で、それなりに人通りもある。
とりあえず相葉さん家に行こうと、俺はそれ以上考えるのを止めた。

相葉さんからもらった地図は、小学生が書いたような感じで
余白の部分には、大きな字でメッセージが書かれていた。

ニノへ
絶対、待っててよ!
あ、ベッドの下は覗かないでね。


「ぶっ・・・何だそれ。」


その内容に思わず吹き出してしまう。

ベッドの下に怪しい物を隠してんだな。
ま、どうせエッチな本とかDVDだろうけど。
相葉さんが帰ってきたら、からかってやろう。

頼りない地図を片手に、気を取り直して俺は相葉さん家へと向かった。
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