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「そろそろ、あいつを解放してやろうっていう気にはなりませんか?」

「解放?」

「もう何年も、身体の関係・・なんでしょう?」

「・・うん。まあ。」

「あいつだって、恋人を作って幸せになっていいと思うんです。」

「うん。俺もそう思うよ?」

「・・だから、あんたとの身体の関係が、それを邪魔してるんだって。」

「そう・・なのかな?」


松本くんの真っ直ぐな言葉に、心が痛む。

いつかは離れていくだろうって思いながら、自分からは切り離せないでいて
もう4年も身体の関係が続いている。

その間、かずに恋人が出来たという話は聞いたことがなくて
適当に遊んでるのかなって思ってたけど

俺が、かずの幸せを邪魔してる・・・?


「ごめん。そんな顔させるつもりじゃなかったんです。」


松本くんが俺の顔を見て、慌てたように言った。

俺はどんな顔をしてるんだろう。

頭の中が混乱していて、上手く考える事が出来ない。


「半分は俺の嫉妬だから、今の話は気にしないで?」


松本くんは俺の頭をヨシヨシと撫でながら、優しく言う。


「ちょっと驚いて・・どうしていいか分かんないんだけど。」

「うん。」

「かずに松本くんと付き合うって、ちゃんと言うから。とりあえず、それでいい?」

「・・うん。ありがとう。」


俺はたったそれだけの事しか言えなかったけど
松本くんは嬉しそうに笑った。

その後は、軽くキスをしただけで、それ以上の関係にはならなかったんだけど。

俺が、かずの幸せを邪魔している。

その思いが心の中で渦巻いて、どんどん大きくなっていくのが怖かった。
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