O

思いの外、情熱的なキスをしてきた後、松本くんは俺の目を見て言った。


「・・・大野さん。好きなんです。」

「うん。」


まあ、そうだろうね。

いつも以上に緊張している松本くんが、あまりに可愛くて、微笑ましかったから
思わず自分から仕掛けてしまった。


「俺と付き合ってください。」

「うん。いいよ。」


断る理由もなかったから即答すると、松本くんにがばっと抱きしめられた。


「・・良かった。超うれしい。」


最近、こういう真面目で真っ直ぐな人と付き合ってなかったからなあ。

その反応がとても新鮮に感じられる。

あ、でも
多分、彼は男と付き合うの初めてなんだよね。

この後、どうすんのかなあ。


「ねえ、松本くん?」

「・・はい?」

「俺を抱きたい?それとも抱かれたい?」


腕の中から抜け出して聞いてみると、松本くんは真っ赤になった。


「え?・・・ええっ?」

「俺、どっちでも大丈夫だけど。」

「いや、そんな事、急に言われても。」

「あれ、しないの?」


てっきりそういう事になると思っていた俺は、拍子抜けしてしまった。

キスだけして終わるつもりだったんだ?
ホント可愛いなあ。

松本くんは照れたように頭を掻いていたけど
ふいに真面目な表情になった。


「あの・・少し聞いてもいいですか?」

「うん。」

「・・・ニノの事、どう思ってるんですか?」

「かず?」

「はい。恋愛対象として見てるんですか?」


突然、かずの名前が出てきて驚く。

恋愛対象としてって
・・・それは、どうだろう。

そういう対象として見る時期は、もう過ぎてしまった気がする。


「かずの事は・・・家族みたいに思ってるよ。」


俺の言葉に松本くんはふうっとため息を付いた。

かずと一番初めに関係を持った時に、ちゃんと付き合うべきだったのかもしれないけど
俺がさんざんいろんな人と付き合って揉めたのを知られてたし
興味本位で言ってるんだろうなって思って
つい抱いてしまった。

その身体が震えていたのを見て、すごい罪悪感に襲われたけど
それ以上に、身体の相性が良くて
あっという間に夢中になった。
1/2ページ
スキ