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大野さんと何回か飯を食って、気付いたことがある。

あの人はやたらと知り合いが多くて
よく声をかけられる。

隣の席の人からビールを奢ってもらうなんて
俺は今までなかったけど。
大野さんといると、割と毎回そういった事があって
本当に驚く。

トイレを出て席の方に視線を向けると、誰かに話しかけられている大野さんが見えた。

何か楽しそうに話してるけど
また知り合いなのかな。

親しげに話していたその人は、俺を見るとそそくさと席を立ち去った。


「・・・また、奢ってもらったんすか?」

「うん。前、どっかで会ったみたい。」


覚えてないんだけどね
と言って大野さんはふにゃりと笑う。

おいおい。
それナンパって言わないか?
俺がいない隙に何すんだよ。

思わず、その人が去っていった方向を睨む。


「どしたの?恐い顔して。」

「別に。・・それ飲んだら、店出ません?」

「ん?いいけど。」


まだ飲み足りない大野さんは、ちょっと名残惜しそうだ。

そう。
この人、結構飲むんだよね。

酔っ払って、いつも以上にふわふわしてる大野さんは、いつも以上に可愛いい。


「・・俺の家で飲みなおしません?」

「松本くんの家?」


大野さんは、キョトンとして聞き返してきた。

今までは飯を食って少し飲んで、それで解散してたから
自分の家に誘うなんて
下心いっぱいの人みたいに思われたかな。


「いや、あの、簡単な物なら作るし、そっちのが安上がりだなって。」

「近く?」

「あ、はい。ここから10分位かな。」

「じゃ、いいよ~。」


移動の距離が気になっていたのか、あっさりと大野さんは頷いた。

下心が全くない訳じゃないけど
そんなにあっさり言われると、逆に心配になる。

俺に襲われたら、どうするつもりなんだろ。
ま、そんな事できないけど。

そういう訳で、俺の家で飲みなおすことになった。
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