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松本くんと飯を食いに行った2日後の日曜日。

昼過ぎに、かずから今日そっちに泊ってもいい?ってメールが入ってて
特に夜は用事がなかったから、いいよって返事をした。

買ってきてもらった弁当を一緒に食って、他愛もない話をして
それから、俺はぼーっとテレビを観てたし、かずは寝転がってゲームをしてた。

自分からここに来たくせに、今日のかずは何だか素っ気なくて
いつもなら俺の膝を枕にしてゲームをしてるのに、今日は少し離れた所にいる。

まあ、手の届く所にはいるんだけど。
何か調子狂うなあ。

かずの体温を感じられないのが、何となく不安で、淋しくて
手を伸ばして、そのふわふわした髪を乱暴に撫でてみる。


「うわ。急に何すんだよ。」


かずが文句を言った直後、ゲームオーバーになったような音が聞こえた。

やばい。怒られる。

ふうっと大きなため息を付き、かずはパタンとゲーム機を閉じた。


「大ちゃん。俺の友達に手出すつもり?」


怒られると身構えていたけれど
かずの口から出たのは、全く違う話題だった。


「まだ出してないよ。」

「まだって。それ手出すって言ってるのと同じだから。」

「そうかな?・・・いや、なんか可愛くてさ。」

「潤くんが?」

「うん。あんな外見なのに、俺といると、すっげえ緊張してんの。」


俺は松本くんの様子を思い浮かべた。

晩飯に誘った時の驚いた顔とか
並んで歩いた時の緊張した様子とか

俺の言葉にムッとしたり、嬉しそうだったり
思った以上に松本くんは感情の起伏が激しくて、見てるだけで面白かった。


「ああ、そんな感じだったね。」

「見た目と中身のギャップが、なんかいいなって。」

「・・うん。」


少し淋しそうに微笑んで、かずは頷いた。

どこから情報を仕入れてくるのか知らないけど
俺に恋人が出来そうな時、かずは必ずそれを知っていて今みたいに笑う。

ってことは、俺、松本くんの事、好きなのかなあ。

好きか嫌いかって聞かれると、まあ好きなんだろうって思うけど
その辺の感情が、自分ではイマイチ分からない。
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