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大ちゃんと入れ替わりでシャワーを浴びて出てくると、いい匂いが漂ってきた。

キッチンを覗きこむと、大ちゃんが何やら料理をしている。


「何、作ってんの?」

「ん~。チャーハン?」

「何でそこ疑問形なんだよ。」

「適当に作ってるから。・・あ、かず。卵割って。」

「え?あんた、もうご飯炒めてるじゃん。」

「入れるの忘れたんだよ。早く。」

「・・・はいはい。」


冷やかしに来ただけだったのに、結局手伝わされるハメになった。

大ちゃんは思いつきで、いろんな具材を投入していく。

炒める順番とか、味付けとか、それは適当だったけど
案外美味しいものが出来てビックリした。


「・・・ウマイ。え、何で?」

「何でってどういう事だよ。俺の作るものは、大抵ウマイんだよ。」


得意げに言って、大ちゃんはチャーハンを貪るように食っている。

大抵って・・・
今日がたまたま上手く出来たんだと思うけど

大ちゃんは思いつきで料理するから、たまに食えない位マズイ時もあるんだよね。


「そんな腹減ってたの?」

「・・運動したら、急に腹減った。」

「まあ、あれだけ動けばね。」


俺の言葉を無視して、そういえばと、大ちゃんは思い出したように言った。


「かずは昔っから、最中に俺の名前呼ばないよな?」

「うん。」

「何で?」


突然そんな事を聞かれて、俺は少し困ってしまった。

してる時は、何ていうか
いつも被っている皮が1枚剥がれちゃってる感じだから

そんな時に、大ちゃんの名前を呼ぶと
俺の気持ちがバレてしまいそうで

だから、今まで呼ばないでいたんだけど
それに大ちゃんが気付いてるとは思わなかった。


「・・・誰としてる時も、名前なんて呼ばないよ。」

「あ、そうなんだ?」

「だって違う名前呼んじゃうと、面倒でしょ。」

「ははっ。可愛くねえなあ。」


大ちゃんは笑って、俺の髪をくしゃくしゃと乱暴に撫でた。

多分、大ちゃんは自分と同じように俺が適当に遊んでると思ってるだろうけど。
俺、案外身持ち堅いんだからね。

でも、この関係を続けていくなら、そう思われていた方が都合がいいから
それ以上俺は何も言わず、食事を続けた。
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