生き残り
『あ…ま、待ってよ…!』
「ボサッとしてんなよぃ」
『だ…だって…!
マルコが…』
「あ?」
『……なんでもない』
「いい加減慣れろよぃ、こんくらいは。もたねェぞ」
『無理だよ、そんなの…
いつも急にするんだもん』
部屋を出て先へ行くマルコの背中を追いかけるララ。
二人は肩を並べて宿を出た。
まだ陽が暮れてはおらず、空は赤く染まっている。
もごもご、と口籠る彼女にマルコは笑みを溢した。
ぶっきらぼうな口調とは裏腹にその表情は穏やかだった。
「ほら」
『え?』
「手」
『ぁ…うん』
マルコは骨ばった大きな手をララに差し出した。
手を繋ぐよう、促されているのだろう。
鈍い彼女でもそれは理解できているよう。
少し驚いたように目を見開きながらも、ララはその手を握った。
手を握ったことがないわけではない。
船上では何度もある。
だが、こうして人前で堂々とすることはなかった。
それは彼の異名のせいでもある。
不死鳥のマルコとして名高い彼と親密な様子を見せると不死鳥の女として認知されてしまう恐れがある。
白ひげのNo.2であるマルコは海賊から狙われやすい。
持ち前の強さでそれをいつもねじ伏せてはいるのだが、不死鳥に女が出来たと知られれば真っ先にララは狙わられるだろう。
ララは自分に危害が及ぶことを危惧しているわけではない。
それによってマルコや白ひげに迷惑がかかるのを心配しているのだ。
『ぁ…あの…
マル…コ…?』
「ん?」
『人に見られちゃうよ?』
「平気だよぃ」
『で…でも…』
「余計な心配すんなよぃ」
マルコにはララの考えはお見通しだった。
あくまで彼女は妹の素振りを装う。
それが彼は少し不満を感じていた。
戦うことを知らない無知な子であれば、マルコもララの考えを推進していただろう。
だが、彼女は強い。
例え狙われたとしても、返り討ちに遭うのが目に見えている。
だから自分達の関係を隠すつもりは微塵もなかった。
『…っ…』
「……嫌かよぃ?」
『え?』
「俺の隣歩くのは」
『ちがっ…!』
「だったらグダグダ文句言うなよぃ」
『……ごめんなさい』
「しけた面してねェで行くよぃ。散歩、するんだろぃ?」
『うん!』
ララは今まで躊躇いがちに握っていたマルコの手を強く握った。
彼もその小さな手を握り返す。
二人は赤く燃えるような夕日を浴びながら島を散策する。
道中食べ歩きをしながら。
彼女は終始笑顔を見せていた。
楽しそうにしている。
「楽しいかぃ?」
『うん!
だってデートみたい』
二人はデートらしいデートをしてこなかった。
マルコの偵察ついでに出かけることはあるが、あくまで仕事だ。
デートという認識はないのだろう。
不満に思っているわけではない。
ただ単純に二人で過ごすこの時間が嬉しいようだ。
.
「ボサッとしてんなよぃ」
『だ…だって…!
マルコが…』
「あ?」
『……なんでもない』
「いい加減慣れろよぃ、こんくらいは。もたねェぞ」
『無理だよ、そんなの…
いつも急にするんだもん』
部屋を出て先へ行くマルコの背中を追いかけるララ。
二人は肩を並べて宿を出た。
まだ陽が暮れてはおらず、空は赤く染まっている。
もごもご、と口籠る彼女にマルコは笑みを溢した。
ぶっきらぼうな口調とは裏腹にその表情は穏やかだった。
「ほら」
『え?』
「手」
『ぁ…うん』
マルコは骨ばった大きな手をララに差し出した。
手を繋ぐよう、促されているのだろう。
鈍い彼女でもそれは理解できているよう。
少し驚いたように目を見開きながらも、ララはその手を握った。
手を握ったことがないわけではない。
船上では何度もある。
だが、こうして人前で堂々とすることはなかった。
それは彼の異名のせいでもある。
不死鳥のマルコとして名高い彼と親密な様子を見せると不死鳥の女として認知されてしまう恐れがある。
白ひげのNo.2であるマルコは海賊から狙われやすい。
持ち前の強さでそれをいつもねじ伏せてはいるのだが、不死鳥に女が出来たと知られれば真っ先にララは狙わられるだろう。
ララは自分に危害が及ぶことを危惧しているわけではない。
それによってマルコや白ひげに迷惑がかかるのを心配しているのだ。
『ぁ…あの…
マル…コ…?』
「ん?」
『人に見られちゃうよ?』
「平気だよぃ」
『で…でも…』
「余計な心配すんなよぃ」
マルコにはララの考えはお見通しだった。
あくまで彼女は妹の素振りを装う。
それが彼は少し不満を感じていた。
戦うことを知らない無知な子であれば、マルコもララの考えを推進していただろう。
だが、彼女は強い。
例え狙われたとしても、返り討ちに遭うのが目に見えている。
だから自分達の関係を隠すつもりは微塵もなかった。
『…っ…』
「……嫌かよぃ?」
『え?』
「俺の隣歩くのは」
『ちがっ…!』
「だったらグダグダ文句言うなよぃ」
『……ごめんなさい』
「しけた面してねェで行くよぃ。散歩、するんだろぃ?」
『うん!』
ララは今まで躊躇いがちに握っていたマルコの手を強く握った。
彼もその小さな手を握り返す。
二人は赤く燃えるような夕日を浴びながら島を散策する。
道中食べ歩きをしながら。
彼女は終始笑顔を見せていた。
楽しそうにしている。
「楽しいかぃ?」
『うん!
だってデートみたい』
二人はデートらしいデートをしてこなかった。
マルコの偵察ついでに出かけることはあるが、あくまで仕事だ。
デートという認識はないのだろう。
不満に思っているわけではない。
ただ単純に二人で過ごすこの時間が嬉しいようだ。
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