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生き残り

「……話が逸れたねぃ」
『え……
…あぁ…うん』
「続きは飯、食ってからにするよぃ」
『うん…?』

ララは首を傾げながらもマルコの言葉に頷いた。

何故今しないのか、と。

食事はまだきていない。

充分にその時間はあるというのに。

彼女の疑問を他所に彼は部屋のドアの方へと足を運んでいく。

『…?
マルコ…?
どこに…』

ララがそう言いかけた時だった。

ピンポーン、という機械的な音が部屋じゅうに鳴り響く。

言わずもがな、ルームサービスだろう。

まるで来訪がわかっていたかのようなマルコの言動。

そこでようやく、彼女は理解した。

見聞色の覇気を使ったのだと。

無意識に人の気配を感じとってしまうのだろう。

警戒心の強いマルコらしい。

「——では失礼致します」
「手間かけさせたねぃ」
「いえ。また何かありましたらお申しつけください」

黒いスーツを着た男性はテーブルにサンドイッチと綺麗に皮を剥かれたテーブルに置くと、そそくさと部屋を出ていく。

フルーツとサンドイッチ。

それはララの好物だった。

恐らくマルコが指示したのだろう。

食欲がなくてもこの二つだけは食べれる。

「食えよぃ」
『……マルコは?』
「俺はもう済ませたよぃ」
『……ごめん。せっかく約束したのに』
「気にすんな。それどころじゃなかったんだろぃ?」
『うん…』

楽しみしていた島観光。

自分のせいで駄目にしてしまった。

それを気にしているのだろう。

シュン、と項垂れている。

「夜、仕切り直すかぃ?」
『え…いいの?』
「ああ。また飯食い行くかぃ?」
『行く!』
「言っとくが、昨日みてェな豪勢な場所はなしだよぃ」
『マルコと一緒ならどこでもいいよ』

ララは平然とした表情で恥ずかしげもなく言った。

マルコは一瞬、面食らったような顔を見せる。

だが、すぐにその表情は優しげになった。

彼女はこういう子だ。

お洒落なディナーを望んだりはしない。

彼が側にいれば場所はどこだっていい、という考えなのだろう。

今まで付き合ってきた女とはまるで違うララ。

それがマルコには新鮮で楽しかった。

「食いたいもんはあるかぃ?」
『んー…特には。
アイスとか?』
「ばか。
それはデザートだろぃ」
『でも食べたいもん』
「欲がねェなァ」
『いいの』
「そうかぃ」

湖で会った時よりもララの表情は柔らかくなった気がする。

こうしてマルコと何気ない会話を交わすことで気が緩んだのだろう。

堅かった表情はもうどこにもない。

「……調子、戻ったみてェだねぃ」
『へ?』
「ずっとしかめっ面してたからよぃ」
『あ…うん。
ごめん』

自分では自覚していなかったのだろう。

ララは頬をぺたぺた、と触って表情筋を柔らげようとしていた。


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