レイク島
「……どうしたものかねぃ」
マルコは窓際にある椅子に腰掛け、呟いた。
ぼんやりと目の前に広がる煌びやかな景色を眺めながらララが戻ってくるのを待つ。
バーカウンターから酒を手に取り、嗜みながら。
『あ!
ずるい!!』
数十分程経っただろうか。
バスルームから用意されたバスローブに身を包んだララが戻ってきた。
濡れた状態の髪のまま。
彼女はマルコが酒を飲んでいる姿を目にすると、意を唱える。
「なんだよぃ、ズルいって…
お前ェも呑めやァいいだろぃ」
『一緒に呑みたかったのに』
「あとでな。
早く髪乾かせよぃ」
『マルコやって?』
「ったく…
来いよぃ」
『わーい!』
マルコはキングサイズのベッドに胡座をかいて座り、ララを手招きする。
彼女はそれに笑顔で応えてちょこん、と彼の前に嬉しそうに座った。
ララがマルコに髪を乾かしてもらうのは珍しいことではない。
幼い頃はお風呂上がりの濡れた髪を毎晩、乾かしてあげていた。
彼女が成長するにつれてその日課はなくなっていったが、時折、甘えたようにねだってくる時がある。
忙しいそうにしているマルコに構ってもらえるララなりの策だった。
なんとも可愛らしい考えだ。
『えへへ…』
「?
なんだよぃ」
『ううん、ただ懐かしいなって』
「……お前ェは昔から好きだねぃ。
これが」
『うん。
だってこれしてる時はマルコ、どこにも行かないから』
「………悪かったねぃ、時間作ってやれねェで」
『しょうがないよ、お仕事だもん』
マルコはララがそんな思いを抱いていたとは知らなかった。
だが、彼女らしい考えではある。
彼の手を煩わせない程度の可愛いらしい我儘をララはする。
「……お前ェは我儘なんだかそうじゃねェんだかわかんねェなぃ」
『?
どういう意味?』
「……もっと我儘言っていいってことだよぃ」
『我儘、言ってるよ?』
「お前ェの我儘はみみっちぃんだよぃ。もっと甘えたっていい」
『……甘…える…?』
ララはキョトン、と首を傾げた。
どうやら彼女は甘えるという行為を理解していないらしい。
ララは生まれてすぐに母親を亡くしている。
普通の家庭環境で育った者なら必ず通る、母親に甘えるという行為をララは知らない。
物心着いた頃にはもう親なし子だった。
だから急に甘えろと言われてもわかるわけがない。
「……悪い」
『?
なにが?』
「…いや。
あとは自分で乾かせよぃ。俺も入ってくる」
『あ、うん…』
マルコは湿ったフェイスタオルをララの頭に被せたまま、立ち上がってバスルームへ消えていった。
彼女は少し首を傾げながらも、彼の背中を見送る。
マルコの姿が見えなくなるとララは静まり返った室内の中、だだっ広いベッドに身を預け、天井を仰いだ。
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マルコは窓際にある椅子に腰掛け、呟いた。
ぼんやりと目の前に広がる煌びやかな景色を眺めながらララが戻ってくるのを待つ。
バーカウンターから酒を手に取り、嗜みながら。
『あ!
ずるい!!』
数十分程経っただろうか。
バスルームから用意されたバスローブに身を包んだララが戻ってきた。
濡れた状態の髪のまま。
彼女はマルコが酒を飲んでいる姿を目にすると、意を唱える。
「なんだよぃ、ズルいって…
お前ェも呑めやァいいだろぃ」
『一緒に呑みたかったのに』
「あとでな。
早く髪乾かせよぃ」
『マルコやって?』
「ったく…
来いよぃ」
『わーい!』
マルコはキングサイズのベッドに胡座をかいて座り、ララを手招きする。
彼女はそれに笑顔で応えてちょこん、と彼の前に嬉しそうに座った。
ララがマルコに髪を乾かしてもらうのは珍しいことではない。
幼い頃はお風呂上がりの濡れた髪を毎晩、乾かしてあげていた。
彼女が成長するにつれてその日課はなくなっていったが、時折、甘えたようにねだってくる時がある。
忙しいそうにしているマルコに構ってもらえるララなりの策だった。
なんとも可愛らしい考えだ。
『えへへ…』
「?
なんだよぃ」
『ううん、ただ懐かしいなって』
「……お前ェは昔から好きだねぃ。
これが」
『うん。
だってこれしてる時はマルコ、どこにも行かないから』
「………悪かったねぃ、時間作ってやれねェで」
『しょうがないよ、お仕事だもん』
マルコはララがそんな思いを抱いていたとは知らなかった。
だが、彼女らしい考えではある。
彼の手を煩わせない程度の可愛いらしい我儘をララはする。
「……お前ェは我儘なんだかそうじゃねェんだかわかんねェなぃ」
『?
どういう意味?』
「……もっと我儘言っていいってことだよぃ」
『我儘、言ってるよ?』
「お前ェの我儘はみみっちぃんだよぃ。もっと甘えたっていい」
『……甘…える…?』
ララはキョトン、と首を傾げた。
どうやら彼女は甘えるという行為を理解していないらしい。
ララは生まれてすぐに母親を亡くしている。
普通の家庭環境で育った者なら必ず通る、母親に甘えるという行為をララは知らない。
物心着いた頃にはもう親なし子だった。
だから急に甘えろと言われてもわかるわけがない。
「……悪い」
『?
なにが?』
「…いや。
あとは自分で乾かせよぃ。俺も入ってくる」
『あ、うん…』
マルコは湿ったフェイスタオルをララの頭に被せたまま、立ち上がってバスルームへ消えていった。
彼女は少し首を傾げながらも、彼の背中を見送る。
マルコの姿が見えなくなるとララは静まり返った室内の中、だだっ広いベッドに身を預け、天井を仰いだ。
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