レイク島
『なんで…』
「その昔、ここに水の神が祀られていたらしい」
『水の神?
水神ってこと?』
「多分な。あれがその名残りだ」
マルコが視線をやったその先にはマルコと同じくらいの背丈の女性像が片隅にぽつん、と鎮座していた。
手入れなどはされておらず薄汚れている。
島の住民の誰一人、祈りを捧げていないからだろう。
『……風神様とちょっと似てる』
「そうなのかぃ?」
『うん。なんとなく、雰囲気だけど…』
ララは像の足元に積もった枯れ葉を払ってやりながら言った。
祈りを捧げられないそれに不憫に思ったのだろう。
彼女は手を交差して重ね合わせ、目を瞑る。
そしてその水神と思われる女性像に祈りを捧げた。
膝まづいて新調した服が汚れることも気にせずに。
『「………」』
『明日…』
「ん?」
『また、ここ来ていい?』
「ああ、構わねェよぃ。気に入ったかぃ?」
『それもあるけど…
綺麗にしてあげたくて』
数秒、祈りを捧げて目を開けたララはマルコにそう進言した。
こういう所は神子らしいな、と彼は笑みを溢す。
普段は普通の女の子にしか見えないが、やはりララは神子なんだなと実感する。
「好きにすりゃあ、いいよぃ」
『うん!
ありがとう、連れてきてくれて…』
「宿行くかぃ?
歩き回って疲れたろぃ」
『もうちょっと…』
この場所が余程気に入ったのだろう。
ララはいつもは履かないヒールの靴を脱ぎ捨て、裸足のまま湖へ足をつける。
空を見上げると満天の星空と月が二人を照らしていた。
夜なのに明るさがあるのはこれのおかげだろう。
「……帰りてェかぃ?」
『え?』
「故郷に」
『………帰っても待ってくれてる人、いないからいい。
皆んなに会えなくなるのはいやだもん』
「そうかぃ」
マルコはそれ以上何も言わなかった。
ララの隣に胡座をかいて腰掛け、共に月を見上げる。
彼女の故郷の島を出る際、彼はいつかまた連れてきてやると約束した。
だが、今まで一度もララを連れてアーテリア島に戻ったことはない。
それをマルコは気にしていた。
まだ約束を守れていない、と。
『あのさ…』
「ん?」
『今日、パパに聞いたんだ。ママのこと…』
「………」
『海賊王の船に乗ってたんだって』
「!」
当然、マルコは目を見開く。
ゴールド•ロジャーのいた時代といえば、まだマルコが海賊見習いだった時代。
一緒に酒を酌み交わすくらい白ひげとは親しかったのでロジャー海賊団はよく知っている。
ララの母親ということは、彼女と同じ銀髪にエメラルドグリーンの瞳を持つ女性だろう。
そんな目立つ容姿ならば、マルコの目に止まる筈だ。
「………」
『マルコ…?』
マルコは渋い顔をして昔の記憶を引っ張りだそうとしていた。
気にかけるララの声も聞こえていない。
何か気にかかる節があるのだろうか。
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「その昔、ここに水の神が祀られていたらしい」
『水の神?
水神ってこと?』
「多分な。あれがその名残りだ」
マルコが視線をやったその先にはマルコと同じくらいの背丈の女性像が片隅にぽつん、と鎮座していた。
手入れなどはされておらず薄汚れている。
島の住民の誰一人、祈りを捧げていないからだろう。
『……風神様とちょっと似てる』
「そうなのかぃ?」
『うん。なんとなく、雰囲気だけど…』
ララは像の足元に積もった枯れ葉を払ってやりながら言った。
祈りを捧げられないそれに不憫に思ったのだろう。
彼女は手を交差して重ね合わせ、目を瞑る。
そしてその水神と思われる女性像に祈りを捧げた。
膝まづいて新調した服が汚れることも気にせずに。
『「………」』
『明日…』
「ん?」
『また、ここ来ていい?』
「ああ、構わねェよぃ。気に入ったかぃ?」
『それもあるけど…
綺麗にしてあげたくて』
数秒、祈りを捧げて目を開けたララはマルコにそう進言した。
こういう所は神子らしいな、と彼は笑みを溢す。
普段は普通の女の子にしか見えないが、やはりララは神子なんだなと実感する。
「好きにすりゃあ、いいよぃ」
『うん!
ありがとう、連れてきてくれて…』
「宿行くかぃ?
歩き回って疲れたろぃ」
『もうちょっと…』
この場所が余程気に入ったのだろう。
ララはいつもは履かないヒールの靴を脱ぎ捨て、裸足のまま湖へ足をつける。
空を見上げると満天の星空と月が二人を照らしていた。
夜なのに明るさがあるのはこれのおかげだろう。
「……帰りてェかぃ?」
『え?』
「故郷に」
『………帰っても待ってくれてる人、いないからいい。
皆んなに会えなくなるのはいやだもん』
「そうかぃ」
マルコはそれ以上何も言わなかった。
ララの隣に胡座をかいて腰掛け、共に月を見上げる。
彼女の故郷の島を出る際、彼はいつかまた連れてきてやると約束した。
だが、今まで一度もララを連れてアーテリア島に戻ったことはない。
それをマルコは気にしていた。
まだ約束を守れていない、と。
『あのさ…』
「ん?」
『今日、パパに聞いたんだ。ママのこと…』
「………」
『海賊王の船に乗ってたんだって』
「!」
当然、マルコは目を見開く。
ゴールド•ロジャーのいた時代といえば、まだマルコが海賊見習いだった時代。
一緒に酒を酌み交わすくらい白ひげとは親しかったのでロジャー海賊団はよく知っている。
ララの母親ということは、彼女と同じ銀髪にエメラルドグリーンの瞳を持つ女性だろう。
そんな目立つ容姿ならば、マルコの目に止まる筈だ。
「………」
『マルコ…?』
マルコは渋い顔をして昔の記憶を引っ張りだそうとしていた。
気にかけるララの声も聞こえていない。
何か気にかかる節があるのだろうか。
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