レイク島
「馬鹿だねぃ、お前ェは」
『え…?』
「いつ俺がお前ェに満足してねェつったよぃ」
『それは…』
「それともなにか?俺に娼館に行けってのかぃ?」
『ちがっ…!』
「んな寂しいこと言わねェでくれよぃ」
女がいても娼館に行く男は山ほどいる。
だが、マルコはそこまで器用な男ではなかった。
ララがその事実を知れば悲しむことは間違いない。
それがわかっていて娼館に行くほど彼は馬鹿ではないし、女に飢えてはなかった。
マルコは彼女の発言に困ったような、少し傷ついたような複雑な表情をララに向けた。
「俺はお前ェが思っている以上に惚れてんだよぃ」
『!』
「いい加減、わかれ」
『うん…
ごめん…』
「二度とんな事言うなよぃ」
マルコは決して怒っていたわけではなかった。
だが、ララにはそう感じとれてしまったのだろう。
しょんぼり、としょげてしまっている。
「着いたよぃ」
『え…!
ここ…?』
話をしながら歩いているうちに目的地に着いたようだ。
いつもの酒場ではなく、高級そうなレストランでマルコは足を止めた。
ララは目を見開き、大きなその建物を疑視する。
「行くよぃ」
『え…』
スタスタ、と先へ行くマルコに急いでララは追いかけた。
本来、こういった高級レストランにはドレスコードがある。
だが、ここは白ひげの縄張りの島だ。
一番隊隊長のマルコに対してレストラン側が彼の服装に文句をつけることはない。
—————
—————
『ふぅ…
おなかいっぱい…』
「食ったねぃ」
食事を終え、レストランを出たララは満足げに顔を綻ばせる。
帰路を辿ろうといつもの癖で船のある方角へと彼女は歩き出そうとしていた。
「こらこら。
どこ行く気だよぃ?」
『?
どこって…モビーに』
当然、マルコがそれを引き止める。
お腹が満たされ、今日の予定を忘れてしまっているのだろう。
今夜、一緒の宿に泊まることを。
「ったく…
もう忘れたのかよぃ。見せたいものがあるつっただろ」
『あ』
「ボサッとしてねェで行くよぃ」
『あ、うん…』
ララは先へ行くマルコの背中を急いで追いかけた。
表通りを抜け、裏路地のさらに奥。
そこに木々が生い茂る場所がある。
島の住民もあまり寄りつかないそれは水の神が祀られているという神聖な場所だった。
偵察の際、たまたまマルコはその話を島の住民から耳にした。
気になった彼は島中を探し回る。
そしてようやく突き止めたそれはどこかまだ懐かしい、見覚えのある景色が広がっていたのだった。
『え……
………』
「驚いただろぃ」
木々を掻き分け、細い道を辿って行くと開けた場所に突き当たる。
月夜に照らされた小さな湖。
木々はそれを守るように生い茂っている。
煌めく星が湖の水面に映し出されていて、幻想的だ。
そう、この景色はララの故郷の港でよく見た景色と類似する。
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『え…?』
「いつ俺がお前ェに満足してねェつったよぃ」
『それは…』
「それともなにか?俺に娼館に行けってのかぃ?」
『ちがっ…!』
「んな寂しいこと言わねェでくれよぃ」
女がいても娼館に行く男は山ほどいる。
だが、マルコはそこまで器用な男ではなかった。
ララがその事実を知れば悲しむことは間違いない。
それがわかっていて娼館に行くほど彼は馬鹿ではないし、女に飢えてはなかった。
マルコは彼女の発言に困ったような、少し傷ついたような複雑な表情をララに向けた。
「俺はお前ェが思っている以上に惚れてんだよぃ」
『!』
「いい加減、わかれ」
『うん…
ごめん…』
「二度とんな事言うなよぃ」
マルコは決して怒っていたわけではなかった。
だが、ララにはそう感じとれてしまったのだろう。
しょんぼり、としょげてしまっている。
「着いたよぃ」
『え…!
ここ…?』
話をしながら歩いているうちに目的地に着いたようだ。
いつもの酒場ではなく、高級そうなレストランでマルコは足を止めた。
ララは目を見開き、大きなその建物を疑視する。
「行くよぃ」
『え…』
スタスタ、と先へ行くマルコに急いでララは追いかけた。
本来、こういった高級レストランにはドレスコードがある。
だが、ここは白ひげの縄張りの島だ。
一番隊隊長のマルコに対してレストラン側が彼の服装に文句をつけることはない。
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『ふぅ…
おなかいっぱい…』
「食ったねぃ」
食事を終え、レストランを出たララは満足げに顔を綻ばせる。
帰路を辿ろうといつもの癖で船のある方角へと彼女は歩き出そうとしていた。
「こらこら。
どこ行く気だよぃ?」
『?
どこって…モビーに』
当然、マルコがそれを引き止める。
お腹が満たされ、今日の予定を忘れてしまっているのだろう。
今夜、一緒の宿に泊まることを。
「ったく…
もう忘れたのかよぃ。見せたいものがあるつっただろ」
『あ』
「ボサッとしてねェで行くよぃ」
『あ、うん…』
ララは先へ行くマルコの背中を急いで追いかけた。
表通りを抜け、裏路地のさらに奥。
そこに木々が生い茂る場所がある。
島の住民もあまり寄りつかないそれは水の神が祀られているという神聖な場所だった。
偵察の際、たまたまマルコはその話を島の住民から耳にした。
気になった彼は島中を探し回る。
そしてようやく突き止めたそれはどこかまだ懐かしい、見覚えのある景色が広がっていたのだった。
『え……
………』
「驚いただろぃ」
木々を掻き分け、細い道を辿って行くと開けた場所に突き当たる。
月夜に照らされた小さな湖。
木々はそれを守るように生い茂っている。
煌めく星が湖の水面に映し出されていて、幻想的だ。
そう、この景色はララの故郷の港でよく見た景色と類似する。
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