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レイク島

「…ララ?」
『………』
「ララ、大丈夫。充分綺麗よ」
『本当に?変じゃない?』
「あら、心外ね。私の腕が信じられない?」
『そ、そういうわけじゃ…!』
「だったら行きなさい」
『わっ…!』

リリィに軽く背中を押され、ララはマルコの目の前に姿を現した。

じっと、彼はいつもとは違う彼女の姿を捉える。

素材がいいのはわかっていたが、化粧をするだけでこうもかわるのか、と素直に感心していた。

嫌にケバケバしくなく、素材を生かしたナチュラルなメイク。

マルコ好みだった。

「ほぅ…」
『えっと…』
「………。
綺麗だよぃ」
『!
〜〜〜』

マルコは優しく微笑んで言った。

初めて言われたその言葉。

ララは言葉にならず、顔を真っ赤に染めて俯いた。

素直にありがとう、と言えばいいだけの話なのだが、彼女にその術は持ち合わせていない。

リリィとマルコは思わず笑みを溢した。

そして彼はその真っ赤に顔を赤らめたララをそっと抱き寄せる。

「じゃ、マルコ隊長。
貸し、ですからね?」
「……わかってるよぃ」

リリィは去り際、マルコにそう言った。

その言葉に彼は一瞬、眉を顰めたが素直に頷く。

そして彼女は髪を靡かせてその場を去る。

「でけェ貸しが出来ちまったよぃ」
『え…?』
「お前ェのこんな姿見れるなんてな。あいつに感謝だよぃ」
『変じゃない?』
「綺麗だつっただろぃ。信用ねェか」
『そうじゃないけど…
自信ない』
「……お前ェは自己評価が低すぎんだよぃ」

ララは自分の容姿が人より秀でてることに全く自覚がない。

一目をひくのは銀髪と瞳の色のせいだろうと思っている。

マルコが大事に蝶よ花よ、と育ててきたせいもあるのだろうが。

「腹減っただろぃ。飯、食いに行くか」
『あ…うん』

二人はどちらからともなく身体を離す。

そしてララはマルコに手を引かれながら船を降りた。

カジノや酒場、娼館など娯楽施設が多いこの島は夜になると姿が変わる。

煌びやかなライトに彩られ、大人な雰囲気を醸し出していた。

娼婦が行き交う男達をひっかけているせいもあるだろう。

ちらほら、と白ひげ海賊団のクルー達が娼婦に連れられているのが見える。

『マルコは行かないの?』
「ん?」
『あれ』

ララの視線の先には鼻の下を伸ばして娼館へと入っていくサッチの姿。

彼の周りには何人かのクルー達がいた。

彼女は彼等に混ざらないのか、とマルコに聞いているのだろう。

「お前ェがいるのに行けってのかぃ」
『だって私、あんなお色気ムンムンじゃないもん』
「………。
前にも言っただろぃ。俺ァ、色気のある女が好きなわけじゃねェって」
『そうだけど…でも…』
「?
なんだよぃ?」
『私、子供だからマルコを満足させてあげられない…』

ララはマルコとの年の差を気にしていた。

どうあがいても経験の差は埋められない。

彼を満足させてやることなど自分には出来ない、と。

娼館に行くのを勧めているわけでもないが、マルコがそれを利用しても彼女は咎めるつもりはないらしい。

普通、自分の男が娼館を利用してると知れば嫌な顔をするはずなのだが。

変な子だ。

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