レイク島
「まぁ、いい」
『パパに用事?』
「ああ。ちょっとねぃ」
『ふーん…』
「夜、甲板で待ってろよぃ?」
『あ、うん』
マルコは船長室に入る去り際、そう言ってララの頭を撫でた。
彼女はしばらく彼が入っていった船長室のドアを見つめる。
だが、すぐに視線を逸らしてその場を去った。
そして甲板に戻る。
『あ、ビスタ!』
「ん?
どうした?」
『今日、非番?』
「ああ…そうだが…?」
相変わらず、甲板は忙しない。
そんな中、ビスタは暇そうにしている。
『物資調達の買い物、手伝って』
「マルコは?」
『なんか用があるみたい。
ね、お願い!』
懇願するララ。
意識してないのだろうが、身長差のある二人だと自然と上目遣いになる。
可愛い妹にここまでされて断れる兄はいない。
「わかった、わかった。わかったからその目、やめろ」
『?
その目?』
ララに対して恋愛感情は一切ないビスタだが、この姿をマルコに見られたらと思うと面倒だ。
彼女にたいしてあの男は嫉妬深い。
それは誰だって知っている。
知らないのはララくらいだ。
「……もう行けるのか?」
『え…?
ああ…うん』
「じゃあ、さっさと行くぞ。俺も暇じゃねェんだ」
『はーい!』
こうしてビスタとララの二人は船を降りていく。
その後ろ姿をレティに見られながらも。
大方、マルコという相手がいながらも別の男と出歩くのが理解出来ないのだろう。
男所帯の海賊船でそんなのを求めていたら何も出来ない。
ましては彼女は曲がりなりにも副隊長。
男と接する機会は多い。
マルコもそれを咎めることはしない。
そこまで彼は子供ではなかった。
「お前も大変だなぁ」
『へ?
何が?』
「あれ」
覇気使いのビスタがそれに気づかぬはずもなく、ララに同情した。
彼は振り向かずに親指で後ろを指して言う。
『ああ…
レティに完全、嫌われちゃったよね』
「ばか。
お前を嫌ってるわけじゃねぇだろ」
『……マルコと一緒にいるから?』
「ああ」
『いつか…』
「?」
『仲良くなれるかな…?』
「そりゃ、あいつ次第だな」
ララはいくらレティに邪険に扱われても彼女を嫌うことはなかった。
仲良くなろうと雑用仕事を手伝ってあげたり努力しているが、それは報われない。
なんとかしてあげたいのは山々だが、こればかりはどうしようもない。
レティの気持ちも充分理解できる。
叱責など出来るはずもなかった。
これはマルコにしか解決出来ない問題だ。
—————
—————
ビスタのおかげで物資調達は随分と早く終わった。
夕方前には船に帰ることが出来た。
日はまだ落ちていない。
リリィとの約束の時間までまだ少し余裕がある。
『シャル』
「…ララか」
いつものように船首で海を眺めているシャルにララは声をかけた。
神獣化しているせいもあるだろう。
威圧感があり、あまり人が寄りつかない。
シャルに近づくのは白ひげか隊長格の人間くらいだ。
害がないのは理解出来ているはすだが、いつも隊長やララ、白ひげが側にいるので近づきづらいのかもしれない。
.
『パパに用事?』
「ああ。ちょっとねぃ」
『ふーん…』
「夜、甲板で待ってろよぃ?」
『あ、うん』
マルコは船長室に入る去り際、そう言ってララの頭を撫でた。
彼女はしばらく彼が入っていった船長室のドアを見つめる。
だが、すぐに視線を逸らしてその場を去った。
そして甲板に戻る。
『あ、ビスタ!』
「ん?
どうした?」
『今日、非番?』
「ああ…そうだが…?」
相変わらず、甲板は忙しない。
そんな中、ビスタは暇そうにしている。
『物資調達の買い物、手伝って』
「マルコは?」
『なんか用があるみたい。
ね、お願い!』
懇願するララ。
意識してないのだろうが、身長差のある二人だと自然と上目遣いになる。
可愛い妹にここまでされて断れる兄はいない。
「わかった、わかった。わかったからその目、やめろ」
『?
その目?』
ララに対して恋愛感情は一切ないビスタだが、この姿をマルコに見られたらと思うと面倒だ。
彼女にたいしてあの男は嫉妬深い。
それは誰だって知っている。
知らないのはララくらいだ。
「……もう行けるのか?」
『え…?
ああ…うん』
「じゃあ、さっさと行くぞ。俺も暇じゃねェんだ」
『はーい!』
こうしてビスタとララの二人は船を降りていく。
その後ろ姿をレティに見られながらも。
大方、マルコという相手がいながらも別の男と出歩くのが理解出来ないのだろう。
男所帯の海賊船でそんなのを求めていたら何も出来ない。
ましては彼女は曲がりなりにも副隊長。
男と接する機会は多い。
マルコもそれを咎めることはしない。
そこまで彼は子供ではなかった。
「お前も大変だなぁ」
『へ?
何が?』
「あれ」
覇気使いのビスタがそれに気づかぬはずもなく、ララに同情した。
彼は振り向かずに親指で後ろを指して言う。
『ああ…
レティに完全、嫌われちゃったよね』
「ばか。
お前を嫌ってるわけじゃねぇだろ」
『……マルコと一緒にいるから?』
「ああ」
『いつか…』
「?」
『仲良くなれるかな…?』
「そりゃ、あいつ次第だな」
ララはいくらレティに邪険に扱われても彼女を嫌うことはなかった。
仲良くなろうと雑用仕事を手伝ってあげたり努力しているが、それは報われない。
なんとかしてあげたいのは山々だが、こればかりはどうしようもない。
レティの気持ちも充分理解できる。
叱責など出来るはずもなかった。
これはマルコにしか解決出来ない問題だ。
—————
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ビスタのおかげで物資調達は随分と早く終わった。
夕方前には船に帰ることが出来た。
日はまだ落ちていない。
リリィとの約束の時間までまだ少し余裕がある。
『シャル』
「…ララか」
いつものように船首で海を眺めているシャルにララは声をかけた。
神獣化しているせいもあるだろう。
威圧感があり、あまり人が寄りつかない。
シャルに近づくのは白ひげか隊長格の人間くらいだ。
害がないのは理解出来ているはすだが、いつも隊長やララ、白ひげが側にいるので近づきづらいのかもしれない。
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