レイク島

「次の報告は孫だな」
『!
なっ…!パパ!!』
「グララララ!!」

ララは真っ赤に顔を赤らめ、白ひげの気の早い発言に声を荒げる。

まだ彼女には刺激が強すぎるようだ。

『………ねぇ、パパ』
「……?」
『昔、私がママのこと聞いたらまだ早いって言ったの覚えてる?』
「……知りてェか」
『だってパパだけど知ってるのズルいよ。私、もう子供じゃないよ』
「グララララ!ヒヨッコがよく言う。

そんなに知りてェなら赤髪に聞け。あのアホンダラの方が詳しい」
『シャンクス…?』
「お前ェの母親はアホンダラと同じ船に乗ってた」

赤髪というのは四皇の一人、赤髪海賊団の船長、赤髪のシャンクスのことを指している。

懸賞金40億ベリー。

大海賊だ。

人懐っこい彼の性格は人を寄せ付ける。

白ひげとも顔見知りで時折、モビー•ディック号を訪れることもあるのでララもシャンクスは知っていた。

彼女が幼い頃から可愛がってもらってる存在だ。

『?
同じ船?』
「グララララ!
クララはロジャーの船に乗ってた」
『ロジャー…って海賊王の?』
「ああ」

いくら無知なララでもその名は知っていた。

富•名声•力。

全てを手に入れた男、ゴールド•ロジャー。

この大海賊時代に知らぬ者はいない。

その偉大なる船にララの母親は乗船してたという。

白ひげがシャンクスに聞け、と言ったのはそういう事だった。

彼は海賊見習い時代、ロジャーの船に乗っていた。

白ひげよりクララのことは詳しい筈だ。

『ママが海賊王の…』
「………」
『わたし……
シャンクスにお話聞きたい』
「グララララ!好きにしろ。
マルコが許可すればな」
『ゔ…』

マルコ、という言葉にララは表情を歪めた。

彼を説得するには骨が折れるだろう。

過保護なマルコが彼女一人、赤髪海賊団の元へ行かせるわけがない。

彼を納得させる何かがなければ首を縦に振ることはないだろう。

「グララララ!マルコには弱ェなァ」
『だってマルコ、うるさいんだもん。過保護だし』

口うるさいのはそれ程、ララが心配だということ。

その意図はわかっている。

だが、つい反抗したくなるのだろう。

恋人同士になった今でもそれが身体に染みついている。

彼女と白ひげはその後、数十分他愛ない話をして過ごした。

お互い、終始笑顔を絶やさずに。


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『あれ…マルコ』

船長室から出ると部屋の前でマルコが待っていた。

船の縁に身体を預け、太陽の光に反射してキラキラ輝く海面を眺めている。

男らしい精悍なその横顔にララは一瞬、目を奪われてしまう。

「随分、話し込んでたみてェだねぃ」
『あ、うん。お話はすぐ終わったんだけど…』
「?」
『……なんでもない』

ララは先程白ひげと話していた内容をマルコにも話そうとしたが、口を閉ざした。

場所が悪い。

誰が聞いているかわかったもんじゃない。

今夜二人で話す時間はいくらでもある。

その時でもいいだろう、と。


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