レイク島
『リリィ!』
翌日。
無事、船は島に上陸した。
各自任された仕事があるので皆、忙しなく動き回っている。
ララもその一人だ。
ふと、彼女の目の前を一人の女性が通り過ぎる。
ナース服を身に纏い、黒髪の癖のない髪を靡かせた妙に色気のある女性。
ララの口からよく聞く、リリィというのは彼女のことだ。
「あら、ララ。どうかした?」
『今日の夕方って…空いてる?』
「?
空いてなくはないけど…」
『ぁ、あのね…
夜、マルコとお出かけするからその…えっと…』
「………。
買い物、行かなきゃね」
もごもご、と口籠るララになんとなしにリリィは察した。
クスリ、と笑みを溢して笑顔でララに言う。
『え…か、買い物?』
「マルコ隊長とデートなんでしょ?うんと可愛いくしなくちゃよ」
『服なら持ってるよ。わざわざ買わなくても…』
「だめよ」
『え…』
「マルコ隊長が惚れ直すくらい、お洒落しないと失礼よ」
『そ…そうなの…?』
「ええ」
無知なララはリリィの口車に上手く乗せられる。
例えどんな格好であれ、マルコは側にいてくれるだけで満足げに表情を和らげる。
そんなことリリィにはわかっていた。
だが、こんな機会がなければ彼女は着飾ることをしない。
だからいいように言ってしまったのだろう。
『じゃあ…一緒に買い物いく』
「今日は非番…じゃないわよね」
『あ、うん。でも夕方には終わるよ』
「じゃあ、夕方に待ってるわ。ここで。買い物しましょ」
『うん!ありがとう、リリィ!
あとでね!』
ララは屈託のない無邪気な笑顔をリリィに向けた。
そしてとことこ、と髪を靡かせてその場を去っていく。
「悪いねぃ、手間かけさせて」
「!
あら、マルコ隊長。いらしたんですか」
ララの過ぎ去る後ろ姿を見送っていたリリィにマルコは声をかけた。
二人の会話を聞いていたのだろう。
彼女は振り向き、驚いたような素振りを見せることなく、穏やかな微笑を彼に向けた。
「聞くつもりはなかったんだが、聞こえちまったんでねぃ…」
「構いませんよ。それより…」
「ん?」
「大事にしてあげてくださいよ?あの子のこと」
「わかってるよぃ」
ララがリリィを姉のように慕うと同様、彼女もララを妹のように可愛がっている。
その関係はまるで姉妹のように。
女性でララが気を許せるのはリリィ一人しかいない。
だから彼女はマルコに釘を刺したのだ。
ララを悲しませるようなことをするな、と。
「レティのことどうするおつもりですか。気づいてないわけないでしょう?」
「………」
「このまま放っておくおつもりはないですよね?」
「んなつもりはねェよぃ。近いうちに話はするつもりだ」
「お願いしますよ?」
「ああ」
レティが二人の関係を知っても尚、マルコに想いを寄せているのは誰もが知っていることだ。
鈍いララでもそれは知っている。
だが、彼女はそれに対して不満を漏らしたことはない。
気にしていないわけではないだろう。
彼に言ったところで面倒事を増やすだけだ、と思っているのかもしれない。
ただでさえ忙しいマルコの手を煩わせるのは嫌だ、と。
ララはそういう子だ。
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翌日。
無事、船は島に上陸した。
各自任された仕事があるので皆、忙しなく動き回っている。
ララもその一人だ。
ふと、彼女の目の前を一人の女性が通り過ぎる。
ナース服を身に纏い、黒髪の癖のない髪を靡かせた妙に色気のある女性。
ララの口からよく聞く、リリィというのは彼女のことだ。
「あら、ララ。どうかした?」
『今日の夕方って…空いてる?』
「?
空いてなくはないけど…」
『ぁ、あのね…
夜、マルコとお出かけするからその…えっと…』
「………。
買い物、行かなきゃね」
もごもご、と口籠るララになんとなしにリリィは察した。
クスリ、と笑みを溢して笑顔でララに言う。
『え…か、買い物?』
「マルコ隊長とデートなんでしょ?うんと可愛いくしなくちゃよ」
『服なら持ってるよ。わざわざ買わなくても…』
「だめよ」
『え…』
「マルコ隊長が惚れ直すくらい、お洒落しないと失礼よ」
『そ…そうなの…?』
「ええ」
無知なララはリリィの口車に上手く乗せられる。
例えどんな格好であれ、マルコは側にいてくれるだけで満足げに表情を和らげる。
そんなことリリィにはわかっていた。
だが、こんな機会がなければ彼女は着飾ることをしない。
だからいいように言ってしまったのだろう。
『じゃあ…一緒に買い物いく』
「今日は非番…じゃないわよね」
『あ、うん。でも夕方には終わるよ』
「じゃあ、夕方に待ってるわ。ここで。買い物しましょ」
『うん!ありがとう、リリィ!
あとでね!』
ララは屈託のない無邪気な笑顔をリリィに向けた。
そしてとことこ、と髪を靡かせてその場を去っていく。
「悪いねぃ、手間かけさせて」
「!
あら、マルコ隊長。いらしたんですか」
ララの過ぎ去る後ろ姿を見送っていたリリィにマルコは声をかけた。
二人の会話を聞いていたのだろう。
彼女は振り向き、驚いたような素振りを見せることなく、穏やかな微笑を彼に向けた。
「聞くつもりはなかったんだが、聞こえちまったんでねぃ…」
「構いませんよ。それより…」
「ん?」
「大事にしてあげてくださいよ?あの子のこと」
「わかってるよぃ」
ララがリリィを姉のように慕うと同様、彼女もララを妹のように可愛がっている。
その関係はまるで姉妹のように。
女性でララが気を許せるのはリリィ一人しかいない。
だから彼女はマルコに釘を刺したのだ。
ララを悲しませるようなことをするな、と。
「レティのことどうするおつもりですか。気づいてないわけないでしょう?」
「………」
「このまま放っておくおつもりはないですよね?」
「んなつもりはねェよぃ。近いうちに話はするつもりだ」
「お願いしますよ?」
「ああ」
レティが二人の関係を知っても尚、マルコに想いを寄せているのは誰もが知っていることだ。
鈍いララでもそれは知っている。
だが、彼女はそれに対して不満を漏らしたことはない。
気にしていないわけではないだろう。
彼に言ったところで面倒事を増やすだけだ、と思っているのかもしれない。
ただでさえ忙しいマルコの手を煩わせるのは嫌だ、と。
ララはそういう子だ。
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