上陸前夜
『マルコは…』
「ん?
なんだよぃ?」
『もう上陸準備終わったの?』
「ああ。お前ェが寝てるうちにねぃ」
『そっか…』
ララは食事をしながらも何気なしに尋ねた。
仕事を終わらせるには充分な時間がマルコには余っていた。
のんびり本を読む時間がある程、彼には今余裕がある。
「どうしたよぃ?」
『……ううん、なんでもない。
もう寝る?』
「………酒でも呑むかぃ?」
『へ?』
「こんな時間に起きちゃ寝れねェだろぃ」
『で…でも…
マルコ、明日…』
明日の昼には島に上陸する。
お互いやらなければいけない仕事が山程あった。
特にマルコはララの倍以上の仕事を任されている。
夜更かししては翌日、堪えるだろう。
彼女はそれを心配していた。
「平気だよぃ。まだ一緒にいてェんだ」
『……っ…。
……じゃあ一杯だけ…』
「一杯で済めばいいがねぃ」
『む…』
「俺の部屋で飲むよぃ。いい酒がある」
『うん』
会話をしながらも、食事する手を止めていなかったララ。
彼女はすでにサンドイッチを綺麗に平らげていた。
余程お腹が空いていたのだろう。
「先、行ってろぃ。グラス持ってくる」
『…ん』
マルコはそう言って立ち上がった。
グラスを取りに厨房へ向かうのだろう。
『あ、マルコ!』
「ん?」
『これ、ついでに持ってって!』
「あぁ…」
ララがマルコに手渡したのは先程までサンドイッチが盛り付けられていた皿だった。
厨房に行くならついでに、と思ったのだろう。
彼は納得したような声色で頷いて皿を受け取る。
彼女の部屋を出た二人はその場で別々に別れた。
(そういえば…。
私、パパに言ってなかったな。マルコとのこと…)
我が物顔でマルコの部屋に足を踏み入れ、いつものようにベッドに腰掛けたララはふと、思い出した。
マルコからは白ひげに二人の関係については報告済みだ。
だが、彼女からは何も話していない。
自分のことでいっぱいいっぱいになり、そんな余裕なかったのだろう。
『話さなきゃな…』
「何をだぃ?」
『!
…っ…び…っくりした… 』
グラスを取りに行っただけのマルコは数分ですぐに戻ってきていた。
考え事をしていたからだろう。
ララはその気配に気づかなかったようだ。
「間抜けな顔だねぃ」
『だって、びっくりしたんだもん…』
「で?」
『へ?』
「何を話すんだぃ?」
『あぁ…
パパに話してなかったから。私達のこと…』
「俺から話してるんだからお前ェは言わなくてもいいんだよぃ」
『でも…』
「ん?」
『ちゃんと言いたいよ。わたしは…』
「そうかよぃ…」
『うん』
言い出したら誰の言葉もララには響かない。
それが例えマルコだとしても。
相変わらずの強情さに彼は呆れて、肩をすくめた。
マルコは手に持ったグラスをデスクに置いて、その傍らの棚に無造作に置いてあった酒瓶を手に取る。
そしてそれを二つのグラスにトクトクトク、と音を鳴らせて注ぐ。
.
「ん?
なんだよぃ?」
『もう上陸準備終わったの?』
「ああ。お前ェが寝てるうちにねぃ」
『そっか…』
ララは食事をしながらも何気なしに尋ねた。
仕事を終わらせるには充分な時間がマルコには余っていた。
のんびり本を読む時間がある程、彼には今余裕がある。
「どうしたよぃ?」
『……ううん、なんでもない。
もう寝る?』
「………酒でも呑むかぃ?」
『へ?』
「こんな時間に起きちゃ寝れねェだろぃ」
『で…でも…
マルコ、明日…』
明日の昼には島に上陸する。
お互いやらなければいけない仕事が山程あった。
特にマルコはララの倍以上の仕事を任されている。
夜更かししては翌日、堪えるだろう。
彼女はそれを心配していた。
「平気だよぃ。まだ一緒にいてェんだ」
『……っ…。
……じゃあ一杯だけ…』
「一杯で済めばいいがねぃ」
『む…』
「俺の部屋で飲むよぃ。いい酒がある」
『うん』
会話をしながらも、食事する手を止めていなかったララ。
彼女はすでにサンドイッチを綺麗に平らげていた。
余程お腹が空いていたのだろう。
「先、行ってろぃ。グラス持ってくる」
『…ん』
マルコはそう言って立ち上がった。
グラスを取りに厨房へ向かうのだろう。
『あ、マルコ!』
「ん?」
『これ、ついでに持ってって!』
「あぁ…」
ララがマルコに手渡したのは先程までサンドイッチが盛り付けられていた皿だった。
厨房に行くならついでに、と思ったのだろう。
彼は納得したような声色で頷いて皿を受け取る。
彼女の部屋を出た二人はその場で別々に別れた。
(そういえば…。
私、パパに言ってなかったな。マルコとのこと…)
我が物顔でマルコの部屋に足を踏み入れ、いつものようにベッドに腰掛けたララはふと、思い出した。
マルコからは白ひげに二人の関係については報告済みだ。
だが、彼女からは何も話していない。
自分のことでいっぱいいっぱいになり、そんな余裕なかったのだろう。
『話さなきゃな…』
「何をだぃ?」
『!
…っ…び…っくりした… 』
グラスを取りに行っただけのマルコは数分ですぐに戻ってきていた。
考え事をしていたからだろう。
ララはその気配に気づかなかったようだ。
「間抜けな顔だねぃ」
『だって、びっくりしたんだもん…』
「で?」
『へ?』
「何を話すんだぃ?」
『あぁ…
パパに話してなかったから。私達のこと…』
「俺から話してるんだからお前ェは言わなくてもいいんだよぃ」
『でも…』
「ん?」
『ちゃんと言いたいよ。わたしは…』
「そうかよぃ…」
『うん』
言い出したら誰の言葉もララには響かない。
それが例えマルコだとしても。
相変わらずの強情さに彼は呆れて、肩をすくめた。
マルコは手に持ったグラスをデスクに置いて、その傍らの棚に無造作に置いてあった酒瓶を手に取る。
そしてそれを二つのグラスにトクトクトク、と音を鳴らせて注ぐ。
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