火拳のエース
「(やっと腹括ったか。マルコの奴…)
いねェよ」
『でも彼女とかいたことあるでしょ?』
「そりゃあな」
『どんな感じ?』
「なんだい、どんな感ってのは…」
ララは好きという感情をよく理解していなかった。
自分のマルコに対する気持ちが家族愛からくるものなのか、はたまた愛情なのかの区別がつかないよう。
18歳の少女にしてはあまりにも無知すぎる彼女にイゾウは思わず、笑みを溢した。
身体は成長してもまだまだ子供だな、と。
『だってわかんないんだもん。好きとか、そうじゃないとか。レティは私がマルコのこと好きだって言うし…』
「………」
今日一日、ララの身には色んなことが起きすぎた。
パンク寸前なのだろう。
彼女は表情を歪め、身体小さく丸めながらちびちび酒を口にする。
「口で説明するのは難しいんだが、そうだなァ…」
『………』
「お嬢はマルコのこと好きだろ?」
「うん!大好き!」
『オヤジや俺たちはどうだ?』
「好き!!」
イゾウの問いに笑顔で即答するララ。
兄としては嬉しいものだ。
彼は目を細めて、彼女の頭を優しく撫でた。
「嬉しいこと言ってくれるねェ。
例えば…」
『?』
「マルコとレティが一緒にいたらどう思う?
どんな気分だ?」
『………。
……なんかやだ。モヤモヤする』
ララは不快そうに表情を歪めた。
何度か経験のあるそれに。
彼女は決してマルコにその不満を口にしたことは一度もなかった。
ただ胸の内にモヤモヤ、とした気持ちを抱えこむだけで。
「なんだ、ちゃんとわかってんじゃねェか」
『え……?』
「それで充分だろ」
ララは嫉妬という感情の正体に気づいていない。
だが、イゾウはそれで充分だと思った。
あとひと押しすればその感情の正体に彼女は気づくだろう。
しかし、そのひと押しをするのは彼の役目ではない。
マルコがすべきだ。
第三者が関わるべきことじゃない。
「お嬢はそのままでいい。ただ…」
『?』
「マルコを兄貴としてじゃなく、男として見てやれ」
『え……男…?』
「ああ。そうすれば自分の気持ちがわかるだろ」
『………。
…そう…かな…?』
「多分な」
そこで会話は途切れた。
二人は言葉を交わすことなく、酒を酌み交わしながら月見酒を楽しむ。
月夜がララとイゾウを照らし、その後ろ姿は絵になる程美しかった。
マルコが見ていたら嫉妬してしまう程に。
—————
—————
『………』
マルコとララの関係が変わり始めたあの日から数日が過ぎた。
彼女は甲板で神妙な面持ちで海を眺めていた。
生温い風がララの頬を撫でる。
今、モビー•ディック号はとある島に向かって航路を辿っていた。
白ひげの首を狙う火拳のエースを止めに入っているジンベエとの攻防戦。
今だに決着がつかずにまだ戦いは止まないらしい。
ずっと黙っていた白ひげがようやく、重い腰を上げて船の航路を変えた。
ジンベエとエースがいるであろう、島へと。
.
いねェよ」
『でも彼女とかいたことあるでしょ?』
「そりゃあな」
『どんな感じ?』
「なんだい、どんな感ってのは…」
ララは好きという感情をよく理解していなかった。
自分のマルコに対する気持ちが家族愛からくるものなのか、はたまた愛情なのかの区別がつかないよう。
18歳の少女にしてはあまりにも無知すぎる彼女にイゾウは思わず、笑みを溢した。
身体は成長してもまだまだ子供だな、と。
『だってわかんないんだもん。好きとか、そうじゃないとか。レティは私がマルコのこと好きだって言うし…』
「………」
今日一日、ララの身には色んなことが起きすぎた。
パンク寸前なのだろう。
彼女は表情を歪め、身体小さく丸めながらちびちび酒を口にする。
「口で説明するのは難しいんだが、そうだなァ…」
『………』
「お嬢はマルコのこと好きだろ?」
「うん!大好き!」
『オヤジや俺たちはどうだ?』
「好き!!」
イゾウの問いに笑顔で即答するララ。
兄としては嬉しいものだ。
彼は目を細めて、彼女の頭を優しく撫でた。
「嬉しいこと言ってくれるねェ。
例えば…」
『?』
「マルコとレティが一緒にいたらどう思う?
どんな気分だ?」
『………。
……なんかやだ。モヤモヤする』
ララは不快そうに表情を歪めた。
何度か経験のあるそれに。
彼女は決してマルコにその不満を口にしたことは一度もなかった。
ただ胸の内にモヤモヤ、とした気持ちを抱えこむだけで。
「なんだ、ちゃんとわかってんじゃねェか」
『え……?』
「それで充分だろ」
ララは嫉妬という感情の正体に気づいていない。
だが、イゾウはそれで充分だと思った。
あとひと押しすればその感情の正体に彼女は気づくだろう。
しかし、そのひと押しをするのは彼の役目ではない。
マルコがすべきだ。
第三者が関わるべきことじゃない。
「お嬢はそのままでいい。ただ…」
『?』
「マルコを兄貴としてじゃなく、男として見てやれ」
『え……男…?』
「ああ。そうすれば自分の気持ちがわかるだろ」
『………。
…そう…かな…?』
「多分な」
そこで会話は途切れた。
二人は言葉を交わすことなく、酒を酌み交わしながら月見酒を楽しむ。
月夜がララとイゾウを照らし、その後ろ姿は絵になる程美しかった。
マルコが見ていたら嫉妬してしまう程に。
—————
—————
『………』
マルコとララの関係が変わり始めたあの日から数日が過ぎた。
彼女は甲板で神妙な面持ちで海を眺めていた。
生温い風がララの頬を撫でる。
今、モビー•ディック号はとある島に向かって航路を辿っていた。
白ひげの首を狙う火拳のエースを止めに入っているジンベエとの攻防戦。
今だに決着がつかずにまだ戦いは止まないらしい。
ずっと黙っていた白ひげがようやく、重い腰を上げて船の航路を変えた。
ジンベエとエースがいるであろう、島へと。
.