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襲撃

『…だぁれ?』
「マルコだよぃ」

その名は白髭海賊団一番隊隊長、不死鳥マルコの異名を持つ名だった。

懸賞金十三億の大海賊だ。

子供と接している姿を見ると想像もつかないが。

『……海のにおいがする。そとからきたひと?』
「!
ぁ、ああ…」
「ララ。外を出るなと言っただろう」
『あ、シャル!
だって…大きいおと、きこえたから…』

大きい音。

大砲のような音はおそらくシャルが政府を追い払った時にした音だろう。

シャルの見た目に驚いた何人かが大砲を打ったのをシャルは見た。

「!
お前!その腕…!」
『え…?』

シャルはララの右腕に浮かび上がっている紋章に気づいた。

マルコもそれに目を向ける。

『あれ……なに、これ…?』
「神子の証だ」
『みこ?
なにそれ?』
「………」
『シャル?』

ララが誰に言われたわけでもなく、石像に祈りを捧げていたあの行為は神子になるための儀式だった。

本来ならば何時間も祈ってようやく得る事ができる神子の証。

それを彼女はたった数分で得てしまった。

シャルは驚きを隠せない様子。

ララの問いかけに答えない。

「嬢ちゃん」
『?
なぁに?』
「奥に休める場所があるのかぃ?」
『うん、あるよ。
ほこらがあるの』
「祠?」
『ふうじんさまがいるの』
「案内してくれるかぃ?」
『うん!』

マルコはララの小さな身体をひょい、と片腕で抱き上げる。

二人の視線が絡み合った。

彼女は驚いたようにじっとマルコを見つめる。

ララはこんな風に誰かに抱き上げられたことがなかった。

だから驚いたのだろう。

いつもと違う景色に。

『……(たかい…)』
「で?
どっちだよぃ?」
『ぁ、えっと……
あっち!』
「了解」
マルコの子供に対する接し方は大人に話す態度と一緒だった。

変に子供扱いすることなく、対等だ。

ララの指の刺す方角へとマルコは進む。

シャルもその後に続いた。


—————
—————

「いいかぃ、嬢ちゃん。
俺ァちょっとオヤジんとこ行ってくるよぃ。
すぐ戻るからここで待ってな」

祠に辿り着いたマルコは抱き上げていたララを地におろし、優しく言い聞かせるように言った。

オヤジ、というのは白ひげのことだろう。

関わってしまった以上、今後どうするのか対策を相談するつもりだ。

「ニューゲートか…」
「!
オヤジを知ってんのかぃ?」
「昔な」

白ひげをニューゲート、と呼ぶ者は少ない。

マルコは少し目を見開いてシャルを見る。

だが、それ以上語ることはなかった。

『……いっちゃうの?』
「すぐ戻るよぃ」

くい、とマルコの服の裾を遠慮がちに引っ張るララ。

綺麗なエメラルドグリーンの瞳がマルコを捉えた。

少し寂しそうな表情にも見える。

『わたしもいきたい…』
「ララ!!」
『だって…!
みんないなくなって……おじちゃんまでいなくなるのなんていや…!』
「「!」」

ララは気づいていた。

あの一瞬、目の当たりにした惨状をみて一族が亡くなったのを。

泣かなかったのはシャルとマルコがいてくれたから。

二つの存在が彼女を不安から遠ざけていた。


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