火拳のエース
「さてと。
俺は仕事に戻るよぃ」
『えー…もう?』
「お前ェもさっさとやらねェと、後で後悔するよぃ」
『う…』
別にいつ仕事をしようが、マルコはララを咎めたことはない。
だが、非番でない限りどこかで仕事はしなければいけなかった。
それが例え真夜中だったとしても。
彼女はそれを想像して表情を歪めた。
何度も経験あるそれに。
『やればいいんでしょ。やれば』
「何も言ってねェだろぃ、俺は」
ララは渋々、甲板に腰を下ろしていたその身を立ち上がらせた。
彼女は別に仕事が嫌いというわけではない。
寧ろ率先してテキパキと仕事をこなす。
だが、天気のいいこんな日は仕事を後回ししてまで日光浴をする癖があった。
きめやかな白い肌が焼けることなど気にもせずに。
「終わったらちゃんと持ってこいよぃ?」
『わかってるって』
二人は仲良く肩を並べて甲板を出た。
互いに自室へと向かっている。
マルコが自室に入る去り際、ララに終わった書類をちゃんと提出しろと彼は言った。
二人の関係は兄と妹でありながら、隊長と副隊長の関係。
一応、仕上げた書類のチェックは必要だ。
自室に戻ったララはデスクに積み上げられた書類に表情を引き攣らせた。
自らの判断で書類仕事を後回しにしたが、目の前に広がる光景に少し後悔している。
自業自得ではあるのだが。
彼女はため息を漏らしながらデスクに腰を下ろした。
眺めているだけではこの書類は片付かない。
ペンを握ってそれを書類に黙々と走らせ始めた。
時間で表すと四時間ほどだろうか。
日が沈みかけ、オレンジ色の空に染まったその時。
——コンコンコン——
ララの部屋のドアがノックされる音が聞こえた。
『………』
だが、彼女は気づかない。
目の前の書類に集中しすぎて周囲の音に気づかないようだ。
いつまで経っても反応がない彼女に痺れを切らしてドアは開かれた。
「ララ」
『………』
「ララ!!」
『!
ぁ……マルコ』
ドアの向こう側から姿を現したのはマルコだった。
夕方になっても部屋から出ず、籠りっきりのララを心配して様子を見にきたのだろう。
「根詰め過ぎだよぃ。少しは休め」
『あはは……。
ごめん、集中してた』
「……終わったのかぃ?」
『もうちょっと。
後は夜にやろうかな』
「無理しすぎんなよぃ」
『へーきだよ。あとほんのちょっとだし』
「そうかぃ」
『ね、マルコの部屋で本読んでいい?休憩がてら』
「構わねェが、もうメシの時間だよぃ」
ゆっくりと日が沈んでいくオレンジ色の空。
腹を空かせた男達が食堂に集まっている頃だろう。
別にいつ行こうが、ララの食事がなくなることはない。
サッチが毎回、用意しているのだから。
だが、騒がしくなる前に済ませた方が得策だろう。
落ち着いて食事が出来なくなる。
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俺は仕事に戻るよぃ」
『えー…もう?』
「お前ェもさっさとやらねェと、後で後悔するよぃ」
『う…』
別にいつ仕事をしようが、マルコはララを咎めたことはない。
だが、非番でない限りどこかで仕事はしなければいけなかった。
それが例え真夜中だったとしても。
彼女はそれを想像して表情を歪めた。
何度も経験あるそれに。
『やればいいんでしょ。やれば』
「何も言ってねェだろぃ、俺は」
ララは渋々、甲板に腰を下ろしていたその身を立ち上がらせた。
彼女は別に仕事が嫌いというわけではない。
寧ろ率先してテキパキと仕事をこなす。
だが、天気のいいこんな日は仕事を後回ししてまで日光浴をする癖があった。
きめやかな白い肌が焼けることなど気にもせずに。
「終わったらちゃんと持ってこいよぃ?」
『わかってるって』
二人は仲良く肩を並べて甲板を出た。
互いに自室へと向かっている。
マルコが自室に入る去り際、ララに終わった書類をちゃんと提出しろと彼は言った。
二人の関係は兄と妹でありながら、隊長と副隊長の関係。
一応、仕上げた書類のチェックは必要だ。
自室に戻ったララはデスクに積み上げられた書類に表情を引き攣らせた。
自らの判断で書類仕事を後回しにしたが、目の前に広がる光景に少し後悔している。
自業自得ではあるのだが。
彼女はため息を漏らしながらデスクに腰を下ろした。
眺めているだけではこの書類は片付かない。
ペンを握ってそれを書類に黙々と走らせ始めた。
時間で表すと四時間ほどだろうか。
日が沈みかけ、オレンジ色の空に染まったその時。
——コンコンコン——
ララの部屋のドアがノックされる音が聞こえた。
『………』
だが、彼女は気づかない。
目の前の書類に集中しすぎて周囲の音に気づかないようだ。
いつまで経っても反応がない彼女に痺れを切らしてドアは開かれた。
「ララ」
『………』
「ララ!!」
『!
ぁ……マルコ』
ドアの向こう側から姿を現したのはマルコだった。
夕方になっても部屋から出ず、籠りっきりのララを心配して様子を見にきたのだろう。
「根詰め過ぎだよぃ。少しは休め」
『あはは……。
ごめん、集中してた』
「……終わったのかぃ?」
『もうちょっと。
後は夜にやろうかな』
「無理しすぎんなよぃ」
『へーきだよ。あとほんのちょっとだし』
「そうかぃ」
『ね、マルコの部屋で本読んでいい?休憩がてら』
「構わねェが、もうメシの時間だよぃ」
ゆっくりと日が沈んでいくオレンジ色の空。
腹を空かせた男達が食堂に集まっている頃だろう。
別にいつ行こうが、ララの食事がなくなることはない。
サッチが毎回、用意しているのだから。
だが、騒がしくなる前に済ませた方が得策だろう。
落ち着いて食事が出来なくなる。
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