火拳のエース
ララが宝珠探しをすると決意したあの日から数年が経った。
齡十八を迎えた彼女は少しずつ少女から女性へと変貌しつつある。
元々綺麗な子ではあったが、さらにその美しさに磨きがかかって女性らしい身体つきにマルコは内心、ヒヤヒヤしていた。
若い輩にとられやしないか、と。
だが、あいにくララの後ろ盾には彼や白ひげがいる。
半端な気持ちで彼女に近づく者はいない。
相変わらず、二人の関係は兄と妹の関係。
マルコの気持ちを知ってるクルー達はいつまで経ってもくっ付かない二人に焦ったさを感じていた。
どう見てもお互い、両想いなはずだ。
ただララにその自覚がないだけで。
「ララ」
『あ、マルコ』
とある日の午後。
ララは甲板で呑気に日向ぼっこをしていた。
ぽかぽかと暖かく、心地良さそうにしている。
「なにサボってんだよぃ」
『だってこんないい天気だよ?部屋に篭ってちゃ勿体ないよ』
「ったく…。
しょうがねェ奴だよぃ」
『マルコも一緒に日向ぼっこしよーよ!
気持ちいいよ』
「……少しだけだよぃ」
『わーい!』
ララの無邪気な笑顔を尻目にマルコは頭の後ろで腕を組み、その身を甲板に投げた。
彼女は相変わらず一番隊に所属しているが、数年経った今は一番隊副隊長という肩書きを持っている。
ビスタと毎日、稽古をしていた成果だろうか。
ララの強さは隊長格レベルにまで成長していった。
彼女を欠番している二番隊隊長に、という話が上がる程には。
だが、それをマルコが許すはずもない。
二番隊にすっぱ抜かれる前に彼は対策としてララを副隊長に就任させた。
幸い、彼女は書類仕事が出来る。
適任者ではあるので意義を唱える者はいなかった。
『そういえばさ…』
「ん?」
『スペード海賊団…?だっけ?』
「ああ…
オヤジに宣戦布告したらしいよぃ」
『宣戦布告…?』
「縄張りの島にあるオヤジの海賊旗を燃やしたんだと」
『なんでそんな馬鹿なこと…』
「全くだよぃ。何を生き急いでんだか…」
『強いの…?』
「かなりやるみてェだねぃ」
『ふーん…』
「なんだ、気になるのかぃ?」
『そういうわけじゃないけど、皆んな話してたから…』
最近ここ、モビー•ディック号ではスペード海賊団の話で持ちきりだった。
主に船長のポートガス•D•エースの話を。
彼は七武海の勧誘を断ったという。
話題に事欠かないルーキーだった。
「こっちから特に攻撃を仕掛けることはねェが、一悶着あるかも知れねェな」
『そうなの?』
「ただの憶測だ」
『ふーん…?』
「まあ、何があってもオヤジがどうかなることなんてねェから安心しろぃ」
『そんな心配してないもん』
「のわりには不安そうな面、してるがねぃ」
『む……』
白ひげが強いことはララも充分わかっている筈だ。
十年以上一緒にいるが、彼が戦いにおいて負けたところなど一度も見たことがない。
世界最強の男。
世間ではそう呼ばれている。
だが、彼女にとってはどんなに強くても白ひげは偉大なる父だ。
やはり心配なのだろう。
彼のその身が。
齡十八を迎えた彼女は少しずつ少女から女性へと変貌しつつある。
元々綺麗な子ではあったが、さらにその美しさに磨きがかかって女性らしい身体つきにマルコは内心、ヒヤヒヤしていた。
若い輩にとられやしないか、と。
だが、あいにくララの後ろ盾には彼や白ひげがいる。
半端な気持ちで彼女に近づく者はいない。
相変わらず、二人の関係は兄と妹の関係。
マルコの気持ちを知ってるクルー達はいつまで経ってもくっ付かない二人に焦ったさを感じていた。
どう見てもお互い、両想いなはずだ。
ただララにその自覚がないだけで。
「ララ」
『あ、マルコ』
とある日の午後。
ララは甲板で呑気に日向ぼっこをしていた。
ぽかぽかと暖かく、心地良さそうにしている。
「なにサボってんだよぃ」
『だってこんないい天気だよ?部屋に篭ってちゃ勿体ないよ』
「ったく…。
しょうがねェ奴だよぃ」
『マルコも一緒に日向ぼっこしよーよ!
気持ちいいよ』
「……少しだけだよぃ」
『わーい!』
ララの無邪気な笑顔を尻目にマルコは頭の後ろで腕を組み、その身を甲板に投げた。
彼女は相変わらず一番隊に所属しているが、数年経った今は一番隊副隊長という肩書きを持っている。
ビスタと毎日、稽古をしていた成果だろうか。
ララの強さは隊長格レベルにまで成長していった。
彼女を欠番している二番隊隊長に、という話が上がる程には。
だが、それをマルコが許すはずもない。
二番隊にすっぱ抜かれる前に彼は対策としてララを副隊長に就任させた。
幸い、彼女は書類仕事が出来る。
適任者ではあるので意義を唱える者はいなかった。
『そういえばさ…』
「ん?」
『スペード海賊団…?だっけ?』
「ああ…
オヤジに宣戦布告したらしいよぃ」
『宣戦布告…?』
「縄張りの島にあるオヤジの海賊旗を燃やしたんだと」
『なんでそんな馬鹿なこと…』
「全くだよぃ。何を生き急いでんだか…」
『強いの…?』
「かなりやるみてェだねぃ」
『ふーん…』
「なんだ、気になるのかぃ?」
『そういうわけじゃないけど、皆んな話してたから…』
最近ここ、モビー•ディック号ではスペード海賊団の話で持ちきりだった。
主に船長のポートガス•D•エースの話を。
彼は七武海の勧誘を断ったという。
話題に事欠かないルーキーだった。
「こっちから特に攻撃を仕掛けることはねェが、一悶着あるかも知れねェな」
『そうなの?』
「ただの憶測だ」
『ふーん…?』
「まあ、何があってもオヤジがどうかなることなんてねェから安心しろぃ」
『そんな心配してないもん』
「のわりには不安そうな面、してるがねぃ」
『む……』
白ひげが強いことはララも充分わかっている筈だ。
十年以上一緒にいるが、彼が戦いにおいて負けたところなど一度も見たことがない。
世界最強の男。
世間ではそう呼ばれている。
だが、彼女にとってはどんなに強くても白ひげは偉大なる父だ。
やはり心配なのだろう。
彼のその身が。