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宝珠

「………」
『…怒ってる?』

一通り話を終え、マルコは黙って自室へと向かっていた。

その様子は明らかに不機嫌そうでララはその後を追う。

ひょこひょこ、と親鳥を追う雛鳥のように。

「怒ってねェよぃ」
『うそだ。
マルコ、こっち見てくれないもん!』
「………なんでお前ェはしなくていいことをするんだよぃ。
わかってんのかぃ!?その意味!」
『……わかってるよ』

部屋につくやいなや、マルコは声を荒げた。

船医でもある彼の部屋は医学書や薬品で溢れていて、ツンとした匂いがララの鼻を擽る。

『政府に目をつけられるって言ってるんでしょ?そんなのわかってる』
「だったらっ…!」
『それでも私は…
ちゃんと神子の使命を全うしたいよ。この命は皆んなが生かしてくれたものだから…』
「………。
どうやって探すつもりだよぃ?」
『……さぁ?
地道に探すしかないんじゃない?』
「………偵察、一緒にくるかぃ?」

折れたのはマルコだった。

困ったように笑みを溢す。

一番隊隊長であり、白ひげの右腕である彼は船が上陸する前に一度、偵察と称して単身で島の様子を見に行く。

1600人の家族を守るためには必要な事だ。

彼はそれに着いてくるか、と言う。

『え……いいの?』
「ああ…俺の負けだよぃ。
偵察ついでに近くの島、寄ってやる。地道に探すよりは効率がいいだろぃ」

地道に上陸した島だけを捜すのでは何年かかるかわかったもんじゃない。

不死鳥化したマルコであれば、短期間で数ヶ所の島を回れる。

宝珠捜しの確率が上がるだろう。

『でも…』
「ん?」
『マルコは反対なんでしょ?私が宝珠探しするの』
「そりゃねぃ…。
だが、お前ェの気持ちも理解してるつもりだよぃ。それに…」
『?』
「オヤジの頼みだ。最低限の手助けはするよぃ」
『……ありがと。
マルコには助けられてばっかりだね』
「自覚してんなら控えてくれると嬉しいんだがねぃ。その無鉄砲さ」
『あはは…』

考えるより先に行動してしまうララはいつもマルコの手を煩わせる。

わかってはいるのだろうが、気づいた時には彼の拳が彼女の頭に降りかかっている。

ララは乾いた笑みを浮かべるしかない。

「ったく…。
朝飯もまだ食ってねェんだろぃ」
『あ…』
「腹減っただろぃ」
『でももうお昼になるからいいよ、朝ごはんは』
「そうかぃ」

こうしてララの風神の神子としての人生が始まった。

辛く、長い人生が。

マルコは支えてやれるだろうか。

彼女に重くのしかかる責務を。

そして耐えられるだろうか。

ララの苦しむ姿に。


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