覚醒
『え……』
ララの目の前に広がっていたのは青い鱗のような景色。
彼女を護るようにしてその青はララの身体を覆っている。
不思議に思い、触れてみるとそれはひどく冷たかった。
「……ナンジガアタラシイアルジカ」
『!』
海王類を威嚇して追い払ったそれはララから身体を離して姿を現す。
それは空想上の産物でしかない生物。
モビー•ディック号の数十倍はある青く透き通ったドラゴン、龍だった。
クルー達は皆、口をあんぐり開けて言葉を失っている。
『……ある…じ…?』
「ヒツヨウナトキ、ヨブガイイ。ワレガチカラニナロウ」
『え……力…?』
首を傾げるララをよそに言うだけ言って龍は海の中へと消えていく。
戸惑う彼女を一人、残して。
『行っちゃった…。
助けてくれたお礼、言いたかったのに…』
「ララ」
『あ、シャル』
「戻るぞ」
『あ、うん…』
呆気にとられているララの元にシャルが神獣化してやってきた。
お互い何を話すわけでもなく、モビー•ディック号に舞い戻る。
マルコやビスタ、隊長格がぞろぞろと心配げに彼女に群がった。
その中心にマルコとビスタがいる。
「このっ……
馬鹿……!!」
マルコは開口一番、眉間に皺を寄せて大きな拳をララの頭に手加減なく、ぶつけた。
まあ、当然だろう。
誰も彼を止める者はいない。
『ッ!
いった——い!!
なにするの!?マルコ!!』
「心配かけさせんなよぃ!!一歩間違えば食われてたんだぞ!」
『!』
「マルコ、無事だったんだからいいじねェか。そう怒ってやるな」
『ビスタ…。
ごめんなさい。心配かけて…』
「……頼むから無茶するなよぃ。生きた心地がしねェ」
『……うん』
「怖くなかったかぃ?」
『……少し』
「これに懲りたら一人で海に出るのは控えるんだな」
『う……努力します』
ララは決して海に出ないとは言わなかった。
恐らく今後も彼女はマルコの目を盗んで海へ出るだろう。
それが彼には容易に想像できた。
「…ったく。
で?」
『へ?』
「あのドラゴンはなんなんだよぃ?」
『……さぁ?知らない』
「さぁってお前なぁ…」
『だってわかんないだもん。名前呼んだらああなっちゃって…』
「俺が話そう」
今まで黙っていたシャルが二人の会話に口を挟む。
黒猫の姿に戻り、ララの足元でマルコを見上げている。
いつの間にか彼女に群がっていた隊長格達はその場を離れていた。
ビスタもいない。
『シャル?』
「何か知ってるようだねぃ、シャル」
「ああ」
「とりあえずオヤジんとこ行くよぃ。
話はそっからだ」
マルコとララ、シャルの二人と一匹は白ひげの元へと歩んでいく。
もし、この日ララが海に出なかったとしたら別の人生があっただろうか。
平穏な人生を歩めたかもしれない。
だが、選んだのは彼女の意思だ。
守られる道もあったが、ララは戦う道を選んだ。
それが神子の使命。
.
ララの目の前に広がっていたのは青い鱗のような景色。
彼女を護るようにしてその青はララの身体を覆っている。
不思議に思い、触れてみるとそれはひどく冷たかった。
「……ナンジガアタラシイアルジカ」
『!』
海王類を威嚇して追い払ったそれはララから身体を離して姿を現す。
それは空想上の産物でしかない生物。
モビー•ディック号の数十倍はある青く透き通ったドラゴン、龍だった。
クルー達は皆、口をあんぐり開けて言葉を失っている。
『……ある…じ…?』
「ヒツヨウナトキ、ヨブガイイ。ワレガチカラニナロウ」
『え……力…?』
首を傾げるララをよそに言うだけ言って龍は海の中へと消えていく。
戸惑う彼女を一人、残して。
『行っちゃった…。
助けてくれたお礼、言いたかったのに…』
「ララ」
『あ、シャル』
「戻るぞ」
『あ、うん…』
呆気にとられているララの元にシャルが神獣化してやってきた。
お互い何を話すわけでもなく、モビー•ディック号に舞い戻る。
マルコやビスタ、隊長格がぞろぞろと心配げに彼女に群がった。
その中心にマルコとビスタがいる。
「このっ……
馬鹿……!!」
マルコは開口一番、眉間に皺を寄せて大きな拳をララの頭に手加減なく、ぶつけた。
まあ、当然だろう。
誰も彼を止める者はいない。
『ッ!
いった——い!!
なにするの!?マルコ!!』
「心配かけさせんなよぃ!!一歩間違えば食われてたんだぞ!」
『!』
「マルコ、無事だったんだからいいじねェか。そう怒ってやるな」
『ビスタ…。
ごめんなさい。心配かけて…』
「……頼むから無茶するなよぃ。生きた心地がしねェ」
『……うん』
「怖くなかったかぃ?」
『……少し』
「これに懲りたら一人で海に出るのは控えるんだな」
『う……努力します』
ララは決して海に出ないとは言わなかった。
恐らく今後も彼女はマルコの目を盗んで海へ出るだろう。
それが彼には容易に想像できた。
「…ったく。
で?」
『へ?』
「あのドラゴンはなんなんだよぃ?」
『……さぁ?知らない』
「さぁってお前なぁ…」
『だってわかんないだもん。名前呼んだらああなっちゃって…』
「俺が話そう」
今まで黙っていたシャルが二人の会話に口を挟む。
黒猫の姿に戻り、ララの足元でマルコを見上げている。
いつの間にか彼女に群がっていた隊長格達はその場を離れていた。
ビスタもいない。
『シャル?』
「何か知ってるようだねぃ、シャル」
「ああ」
「とりあえずオヤジんとこ行くよぃ。
話はそっからだ」
マルコとララ、シャルの二人と一匹は白ひげの元へと歩んでいく。
もし、この日ララが海に出なかったとしたら別の人生があっただろうか。
平穏な人生を歩めたかもしれない。
だが、選んだのは彼女の意思だ。
守られる道もあったが、ララは戦う道を選んだ。
それが神子の使命。
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